日本経済新聞社が実施した第3回金融機関評価調査の顧客満足度ランキングで3年連続第1位を獲得。日本の銀行業界で躍進を遂げた、同行を支えるシステムはメインフレームからウィンドウズのシステムに移行。ATMやテレビ会議など、全て公衆インターネット網を利用している。そこで金融インフラ部門長を務める、ダナンジャヤ デュイベディ氏に事業や魅力について聞いた。

世界最先端のテクノロジーや手法が集約

ダナンジャヤ デュイベディ氏

 2000年3月に新銀行としてスタート、6月に日本長期信用銀行から新生銀行に行名を改めました。それを機にこれまでメインフレームだった旧来システムからウィンドウズベースのサーバーを使って、2000年から1年という短期間で個人向け銀行サービスを立ち上げました。また、ATMやテレビ会議、電話など、すべてのネットワークを公衆インターネット網利用に変更し、革新的かつ顧客重視の個人向け銀行サービスを提供するための柔軟なシステム環境を実現しました。この新システムへの移行はこれまでの日本の金融業界では有り得ない、早いスピードで実施。この事例は2006年、ハーバードビジネススクールのMBAコースでも取り上げられ、賞賛されているほどです。

 ではなぜ、このような大規模なシステムを短期間で置き換えることができたのでしょうか?

 実は、当行では“ブロック型システム構築手法”を取り入れています。これは既存のハードウェアやソフトウェアを、ブロックのように組み合わせてシステムを構築します。そうすることで、これまで複雑かつ長期間を要していた大規模なシステム開発も短期間で行なうことができるようになったのです。最初はあまりに早いスピードでの開発に戸惑いを覚える部分もあるかもしれませんが、徐々に仕事の進め方に慣れていく人が多いようです。

 私自身、北米、欧州、アジアの大規模な銀行で25年もの間、責任者を歴任してまいりましたが、当行のシステムは世界の中でも最先端だと自負しています。

洞察力に優れ、夢を持ち、前向きな人材を歓迎

 エンジニアであれ、そうでない人であれ、明確な夢を持ち、洞察力に優れた人に来てもらいたい。そのため、年齢や経験は問いません。当行では年功序列という制度はなく、若く前職での経験が浅い方でも活躍しています。

 2004年9月に新生銀行グループに加わったアプラスは、信販大手5社の一角を占めています。買収したアプラスに新たなシステムを導入したのも、30代の若い女性エンジニアでした。2000年にはゼロだった女性管理職は現在、私たち金融インフラ部門においては、マネージャー全体の40%まで増えており、実力さえあればどんどんステップアップできることが証明されています。

 また、2006年10月2日には、楽天と新生銀行が合弁会社として設立した住宅ローン専業の金融会社「楽天モーゲージ」が営業を開始。その合弁会社のシステム構築プロジェクト責任者はいずれも30代の女性。楽天モーゲージの新システム構築は彼女たちが中心となり、インドとのオフショア開発を行ない、たった6カ月という短期間で完成することができたのです。当初、このプロジェクト責任者はこのような重い責務の仕事を任されるとは思っていなかったようですが、若くてもこのような機会を与えられたことで大きな自信を得たようです。

 当行に入行した後は必ず大きなチームで大規模なシステム構築を進めていくことになります。素晴らしい人材が加われば、それだけチーム全体の士気も高まります。そのため、事業もしくは自分自身を自らが変革していきたい、そんな前向きな方と一緒にこれからの新生銀行を作っていきたいと考えています。

要望を聞きながら、適材適所で配属を決定する

 入行後の研修体制も充実しています。新生銀行のビジョンとバリューを共有するためのCLO(ChiefLearningOfficer)主催の研修に加えて、特に金融インフラ部門の特性に応じた各種ケーススタディ研修やPMBOKに準拠したプロジェクトマネージャー向け研修等の随時開催、外部研修への派遣、資格取得支援など、各自のニーズとスキルアップに直結した研修メニューが多数用意されています。もちろん、本人の要望を聞きながらの配属決定にはなりますが、面接の段階で適したプロジェクトなどがあれば、即座にそのプロジェクトに配属され、業務を任されることとなります。これまでの得意分野を活かしながら、新たな自分の可能性を発見することもできるかもしれません。

 また、世界的に有名なテクノロジー・ビジネスリーダーたちが当行を訪問。彼らは当行を最先端の技術だけでなく、戦略やビジネスモデルなどで世界的に優位性があると捉えているからなのです。私はこれまでテクノロジーの世界では新技術がどんどん陳腐化していく光景を目の当たりにしてきました。そうした時代の流れの中、どうすれば常に世界の最先端にいることができるのか、長年の経験でノウハウを蓄積してきました。そういった点では、新生銀行は世界の中でも非常に恵まれた職場環境といえるでしょう。このような素晴らしい環境下でぜひ自分を高めていきたい、そんな方たちにぜひ積極的に応募していただきたいと考えています。

ダナンジャヤ デュイベディ(Dhananjya Dvivedi)氏
2000年5月に新生銀行金融インフラ部門長に就任して以来、一貫して新生銀行のシステム開発をリードしてきた。それまで25年間、シティバンクのアジア、中東、欧州、北米、日本でIT部門のマネジメントの責任者として豊富な経験を積んでいる。