Linuxシステムを適切に管理するには,Linuxの知識だけではなく,ネットーワークやセキュリティなどの幅広い知識が必要です。それらを効率よく得るには,良質な書籍を読むのが早道です。システム管理に役立つ書籍50冊を厳選し,6ジャンルごとに分けて紹介します。
インターネット・サーバーと聞いて多くの人がまず思い浮かべるのは,Webサーバーではないでしょうか。Linuxで稼働するWebサーバー・ソフトの代表格が「Apache HTTP Server」(以下,Apache)です。
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写真4●Apache運用技法(アスキー) Apacheのインストールから,各種カスタマイズ方法,動的コンテンツの利用方法,データベース管理ソフトや検索ソフトとの連携,WebDAV対応,大規模サイト向けのチューニングといった幅広い内容を取り扱っています。 |
Apacheの運用を解説した書籍は数多くありますが,比較的コンパクトに情報をまとめているのが,「Apache運用技法」(写真4)です。同書は260ページ程度の分量ながら,Apacheのインストールから,各種カスタマイズ方法,動的コンテンツの利用方法,データベース管理システムや検索ソフトとの連携,WebDAV対応,大規模サイト向けのチューニングといった幅広い内容を取り扱っています。
その分,解説は十分とは言えませんが,うまくポイントを絞っているため,運用の全体像を手早く把握できます。対応するApacheのバージョンは1.3系と2.0系です。
メール・サーバー用のソフトウエアとして最近人気上昇中なのが「Postfix」です。Postfixの仕組みや運用について知りたい人にお勧めなのが,「Postfix詳解」です。同書は,Postfixのインストールに始まり,各種設定項目の解説,さまざまな認証方式の利用方法,スパム対策,NISやLDAPを使ったユーザー情報管理といった幅広い運用方法を紹介しています。
しかも,単にPostfixの設定だけを紹介するのではなく,メール・サーバーの仕組みや構成に関しても,きちんと解説しています。また,メッセージ・キュー管理方法など,Postfixの仕組みを詳しく紹介しているのも特徴です。それを踏まえたチューニング方法なども説明しています。
運用や設定が難しい重要なサーバーとしては,DNS(Domain Name System)サーバーが挙げられます。不適切に運用されがちで,しかもその影響範囲が広いため特に注意が必要です。
DNSサーバーを設定したり,運用したりする人は,何を差し置いても「DNS & BIND 第4版」を読むべきでしょう。同書は,DNSサーバーの役割や動作の仕組み,運用形態などを体系的に紹介した書籍です。また,DNSサーバーの代表的な実装である「BIND」というソフトウエアの設定も詳しく解説しています。
実際にBINDなどのDNSサーバーを運用する段階になった人にお勧めなのが,「DNS&BINDクックブック」です。同書は,目的別にBINDの設定方法や運用方法を説明します。例えば「キャッシュだけのネームサーバを設定する」という項目があり,それを解決するための設定例などが掲載されています。
よく利用されるサーバー・ソフトにはこのほか,Windowsとのファイル共有に利用される「Samba」があります。Sambaについて,入門レベルから比較的高度な内容までをバランス良く紹介しているものとしては,いわゆる「ムック」本になりますが,「セキュアなSambaサーバーの作り方」が挙げられます。同書は,日経Linuxの連載記事をまとめたもので,ディストリビューション別のインストール方法や,SELinuxを考慮したセキュアなSambaサーバー構築,Windowsのドメイン・コントローラ作成などを解説しています。
データベース管理システムに関する書籍としては,MySQLの高度な運用に役立つように著された「実践ハイパフォーマンスMySQL」が特筆に値します。同書は,MySQLの仕組みを詳しく解説し,その上で,パフォーマンスや可用性を向上させる方法を紹介しています。MySQLに関しての理解を深めたい人には必読の書と言えます。
また,同書が紹介する考え方や手法の多くは,他のデータベース管理システムにも応用できます。MySQL以外のソフトを利用する人も,目を通しておいて損はないでしょう。
表1●Linuxシステム管理に役立つ書籍 | ||||||||||||||||||||||||||||
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