Q: 初心者ですが,Linuxの使い方がなかなか身に付きません。どうすればLinuxをマスターできるのでしょうか。

A: 「まぁいいか」と思うのがコツです。

 まず,どれくらいのレベルを「マスター」というのでしょう。「なかなか身に付かない」と言っている人の多くは,自分で高過ぎるレベルを求めていることが少なくありません。

 私は10年以上デスクトップ環境としてLinuxを使っていますし,いくつものサーバーを管理しています。こういった記事も書いています。そういう意味では「マスターした人」のようにも見えます。

 しかし,シェル・スクリプトがガンガン書けるかといえばそうではありません。それどころか,findするにもmanを見ないとできません。lsで使うオプションは,-l, -F, -aくらいでそれ以外のものはmanなしでは使えません。ですから,もろもろの認定試験(LPIとかRHCEとか)はおよそ通らないのではないかと思います。ひょっとすると,大多数の「マスターできません」と言っている人よりもレベルが低いかもしれません。

 でも,知らないことがあっても調べ方は分かっていますし,実用には困っていません。Linux以外の環境よりはずっと気楽に安心して使えます。「マスターした」とはいえないかも知れませんが,普段何の不自由もしていませんから,「身に付いた」といえます。

 こうなるまでには血のにじむような努力があった... わけではありません。「いつも使っていた」だけです。

 ただ,Linuxを使っていると,どうやっても分からないことや,どうやってもできないことがときどき起こります。それは自分の能力の問題のこともありますし,Linuxの問題のこともあります。そんなときに「だからLinuxが悪い」とか「だから私が悪い」とか思わないで,「まぁいいか」と思って気楽に放置するのがよいと思います。

 確かにできないことがあるのは不愉快ですし,できるようになることは良いことです。でもそうした問題で悩むよりは「Linuxという環境に慣れる」ことの方がずっと大事ではないでしょうか。

 例えば,デスクトップでLinuxを活用することは,これまでは難しいとされていました。しかし,「Windowsと全く同じように」と思わなければ,実は大抵のものがそろっています。確かに「できないこと」もたくさんありますが,その「できないこと」は大抵,回避できたり,あきらめることができたりします。

 だったら,「まぁいいか」と思って,ほかの方法で対処していれば良いのです。そうしているうちに誰かが「それ」をできるようにしてくれるかも知れませんし,「それ」が必要でなくなるかも知れません。実は「それ」は元々必要のないことかも知れません。

 大事なのは「それ」ができなくても,「まぁいいか」と思いつつもすべてをあきらめたりしないで,「使い続けること」です。そうすれば,「Linuxでできる範囲内で効率よく問題解決できないか」という視点を持てるようになります。

 インストールも同じことです。学習用であるなら,「とりあえず動く」ものができてしまえば,後は「まぁいいか」で十分なはずです。むしろ「押し着せの完璧な環境」よりは,「動いているけど,使うに使えない環境」の方が,勉強には適するくらいです。いじっているうちにどうしようもなくなれば,「まぁいいか」と言いつつ,またインストールすればいいだけのことです。