現在の携帯電話は,一昔前のパソコンと同等の機能が入っている。もはや単なる音声端末ではない。さらに法人向け無線LAN搭載携帯電話の登場で,「情報端末としての携帯電話」のニーズにも応えられるようになった。

「潜在的内線呼」を削減

綿貫 一樹氏

 これまでの電話システムは,社内にある固定電話と,個人が携帯する携帯電話の2系統が並行的に運用されてきた。外出,離席,出張があると,本来ならば内線電話でかけるべきなのに,利便性を優先して,携帯電話から発信してしまう。これでは携帯電話料金と電話取次ぎに伴うコストが増える。

 当社のソリューション「AiriP(アイリップ)」を利用すると,無線LAN搭載携帯電話をどこでも利用できるようになる。顧客はダイヤルイン番号にかけるだけ。社員は自席であろうと出張先の支社であろうと,社内の無線LAN圏内であれば内線電話としていつでも顧客の電話を受けられる。社外にいる場合は自動的に携帯電話に転送される。携帯電話の圏外で電話が着信できなければ,「転送通知メール」で発信者番号が通知される。どこにいても,どんなときでも連絡がつく。

 社内で電話するときも,常に内線番号にダイヤルする運用を徹底すると,外線電話のコストを削減できる。ある導入事例では,前年度に比べ固定電話通信費を約17%削減,携帯電話通信費を約16%削減することに成功した。

 また,ソリューションの一つとして電話帳やプレゼンスの機能を提供している。社内外を問わず,同一の電話帳システムを利用できる。万が一端末を紛失しても,携帯端末のアドレス帳を遠隔から削除できる。

 従来は開発が困難だった携帯電話上の業務アプリケーションを,誰もが容易に開発・実行可能な環境も提供する。携帯電話にXMLブラウザを搭載し,ゲートウエイ・サーバーを介することで,社内の各種業務アプリケーションを連携させて利用できる。例えばオフィス環境であれば,会議室予約システムや出退勤管理と容易に連携できるようになる。

セキュリティと統合管理運用性が鍵

 音声通信を支える無線LANを導入するには,十分なセキュリティ機能があるか,音声品質が確保されているか,アクセス・ポイント(AP)を統合管理運用できるかといった点が鍵になる。

 無線LANのセキュリティは,電波が届けば通信が見られてしまうことや,建物の外にも電波が届くという問題がある。そこでAiriPでは,適切な暗号化とユーザ認証の提供に加え,無線LANシステムを統合管理運用することで,有線LAN以上のセキュリティを確保することができる。

 音声品質を確保するためにAiriPでは,能力限界を超えるような音声通話を行わない呼制御を実現している。1台のAP配下で同時に通話できる端末台数を適切に制限する。同時に,IEEE 802.11eによるQoS(quality of service)実行時やIEEE 802.1X認証使用時であっても,端末がAP間を移動する際の高速ハンドオーバーが可能だ。