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電子行政:EAを理解しよう

実践編・第5回 機能情報関連図(DFD)の使い方と論理化

2006/12/02 日経BPガバメントテクノロジー

文・清水惠子(みすず監査法人 シニアマネージャ)

 実践編・第4回で機能分析についての説明をした。次のステップでは、分析した機能と情報の関連を分析し、その機能と情報の流れから業務改善を進めることになる。

■DFDによる機能の流れの見直し-組織の垣根を越えて

 実践編・第3回では、「アクションプラン=行動計画」ついて説明したが、行動の目標を実行に移すにあたっては、まず、具体的に行動の対象とした業務についての現状分析が必要となる。機能情報関連図(DFD)を作成する第一の“ご利益”は、業務を実施する際の機能と情報の流れが組織の垣根を超えて一覧できることにある。

 現状のDFDを作成する最後の作業である論理化の作業(業務のくくりなおし)を経てから、理想モデルを策定することになる(DFDについては、併せてコラム第4回を参照)。

 論理化の作業によって、業務をくくりなおすことにより、情報の流れが整理される。つまり、情報が業務の間を行ったり来たりする機能の重複が解消され、情報が滞留することが少なく業務を遂行する流れが順調に形成されるのである。これがDFDを利用する“ご利益”である。以下、埼玉県川口市の事例を見ていこう。

 図1は川口市の現状DFDである。現状のDFDはDMM(機能構成図)に記載した機能に情報と業務を動かすトリガー(ひきがね)となる外部イベントを書き込むことにより作成される。機能と情報の滞留であるファイル(図1では「住民基本台帳」)の関係を見てみよう。最初に作成したDFDでは、情報の分類がまだ行われていないため、すべてが実線で記載されている。

■図1 最初の現状DFD(川口市の事例より)
最初の現状DFD(川口市の事例より)
出典:総務省

 2回目の見直し作業の後のDFD(図2)では情報の流れを表す線の表記が実践と点線になっていることに気付くだろう。川口市のDFDの記載方法は、情報の流れを、(1)参照情報と(2)機能を動かすトリガーとなる情報とに区分して整理する記載をしている。実線で記載されている、機能を動かすトリガーとなる情報は次の動作をキックする情報であり、点線の情報は参照情報である。点線の情報の中には、参照情報と言うよりも業務の現場レベルよりも高いレベルの動作をキックする情報が含まれているが、現業の業務の分析として直接的な業務を遂行するために必要とされる情報を明確にする目的で整理されている。

 住民基本台帳のDFDである図2では、中心に住民基本台帳が記載され、この中心のファイルに関連する記載は、すべて点線が記載され、参照情報として書き込まれ、または、参照されているが、次の動作をキックする情報ではないことが分かる。この点線と実線を分ける記載が効果を発揮するのは、次の論理化のステップである。

■図2 見直し後の現状DFD(川口市の事例より)
見直し後の現状DFD(川口市の事例より)
出典:総務省

■論理化の“ご利益”--組織の壁を超えて業務と情報の流れを分析

 論理化の手順として、まず、情報の流れが業務のどこまで繋がるかを、具体的な情報の流れで追いかける。自治体EA業務・システム刷新化の手引きで「DFDの一筆書き作業」と呼んでいる作業である。転入届が川口市に引っ越しをした住民から窓口に提出され、市の担当窓口がその届けを受付、受理するところからどこまでその転入届が時間待ち(つまり、情報の滞留をしないで)をしないで繋がるか実際に線でつないでいく。この作業により、情報が滞留するまでを一つの機能としてくくりなおすことになる。

 この「一筆書き」をするときには、他の要素は無視して実線の流れだけに注目して線でつないでいくことなる。ここで実線と点線で情報を区分している“ご利益”が出ている。異なる情報の流れは、異なる色で区分されている。

■図3 論理化作業の図(川口市の事例より)
論理化作業の図(川口市の事例より)
出典:総務省

 論理化をすることにより、現業の担当者が組織の壁を超えて業務と情報の流れを分析し、情報が滞留するまでのかたまりに機能のくくりなおしをする。つまり、業務機能をどこでくくると情報の流れがきれいにながれるか、この分析で分かることになる。

■図4 理想のDFD(川口市の事例より)
理想のDFD(川口市の事例より)
出典:総務省

 理想(図4)と現状(図2)のDMMを比較してみよう。例えば、図4では、図2では情報の滞留として表現されていた「戸籍附表記載」が他の機能と一緒にくくられており、図2で各機能間を行ったり来たりしていた情報の線が整理されていることが分かる。現状では一つの独立の機能としてくくられていた戸籍附表記載が、台帳記載の後、台帳記載の機能から情報を受けて附表が記載される流れとして一緒にくくられることにより、錯綜していた情報の線が整理されている。これは、台帳記載と附表記載の機能は一つの機能としてまとめることができると参加者が認識できたことを意味している。

 これは、業務の見直しをする際には、この2つの機能を一つのかたまりとして処理する改善を検討することを示唆している。「一筆書き」をすることにより、機能と情報の関係の錯綜している状態と整理されて情報の錯綜がなくなった状態をこの作業に参加した参加者が目で見える状態(可視化)にできる。これがなによりも論理化の“ご利益”である。業務改善の検討が机上での議論だけでなく具体的に手を動かして作業することにより、機能と情報が整理されることを実感することになる。

業務・システム刷新化の手引き(総務省)
実践編「自治体EAの実践方法」 > 2A.4)業務機能の論理化、抽象化
http://www.soumu.go.jp/denshijiti/system_tebiki/jissen/content02-a4.html

 この論理化の作業をするにあたっては、抽象化の概念を理解することが大切である。次回は抽象化について、その“ご利益”を説明することにしたい。

清水氏写真 筆者紹介 清水惠子(しみず・けいこ)

みすず監査法人 シニアマネージャ。政府、地方公共団体の業務・システム最適化計画(EA)策定のガイドライン、研修教材作成、パイロットプロジェクト等の支援業務を中心に活動している。システム監査にも従事し、公認会計士協会の監査対応IT委員会専門委員、JPTECシステム監査基準検討委員会の委員。システム監査技術者、ITC、ISMS主任審査員を務める。

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