◆今回の注目NEWS◆

◎知事会道州制特別委、委員長に岡山県の石井知事(NIKKEI NET、11月9日)
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20061109AT3S0901509112006.html

【ニュースの概要】全国知事会は9日、道州制特別委員会の委員長に石井正弘岡山県知事を選出した。委員会は年末をメド独自案を策定、来年1月には全知事を集めた臨時総会を開いて正式決定する予定だという。


◆このNEWSのツボ◆

【A】
1958年 467
1976年 511
1996年 500
2000年 480(1958比+3.0%)

【B】
1947年 250
1971年 251
2001年 247
2004年 242(1947比▲3.2%)

【C】
1967年度 899,333
1981年度 898,265
2000年度 840,903
2002年度 807,019
2003年度 510,000
2004年度 332,843(1967比▲63.0%)

 さて、この数値は何の数値だかお分かりだろうか?

 答えは、「A:衆議院議員定数」、「B:参議院議員定数」、「C:国家公務員定数」である。比較すると、国家公務員の定数の減少が著しいが、実際は、この間に郵政公社や国立大学の日国家公務員化、独立行政法人の創設などが行われているため、純粋な定員減は、約7万9000人(1967年度比▲8.8%)である。

 それにしても、小選挙区制や比例代表制の導入など、国会議員選挙制度の改正を大騒ぎでやってきた割に国会議員の定数が減っていないことに驚く。

 道州制の導入も、政策権限や財源の問題が、まず喧伝されがちだが、結局のところ、現在存在する地方の首長、地方議員、都道府県公務員を、どう削減・処遇するのかという問題にカタが付かない限りは「絵に描いた餅」のように見えてしまうのは筆者だけだろうか?

 広域市町村合併でも、結局、地方議員が全く削減されなかったり、議員や公務員の給与が「高い自治体に合わせる」といった事態が発生し、ひんしゅくを買ったのも記憶に新しい。

 「まず道州制を入れてから、徐々に考える」という発想もあろう。しかし、国が「改革」を叫びながら、議員や公務員の定員問題の処理に関して、実際の切り込みが(特に「政治」のレベルで)ほとんど出来ていないことを考えれば、定員問題の処理を後回しのまま道州制を導入して実効が上がるとは考えにくい。

 筆者は岡山県の顧問を拝命していることもあり、石井知事の人柄、識見は良く存じ上げており、敬愛もしている。今回の仕事は、まさに「大仕事」であるが、ぜひ、積極的なリーダーシップを期待したい。

安延氏写真

安延申(やすのべ・しん)

通商産業省(現 経済産業省)に勤務後、コンサルティング会社ヤス・クリエイトを興す。現在はウッドランド社長、スタンフォード日本センター理事など、政策支援から経営コンサルティング、IT戦略コンサルティングまで幅広い領域で活動する。