三浦 雅孝 アイ・ピー・ビジョン
CTO
三浦 雅孝

SIPを利用したインターネット電話を利用する方法は大きく三つある。VoIPルーターなどを使ってアナログ電話を接続する方法、SIP専用電話機を使う方法、ソフトフォンを利用する方法である。今回は、アナログ電話機をVoIPルーターやVoIPアダプタを使って、インターネット電話に接続する方法を紹介する。

 これまでSIP(Session Initiation Protocol)を使ったインターネット電話について解説してきた。インターネット電話の普及には、IP電話機などのユーザーの端末が鍵を握るといえる。今回から数回に分けて、接続できるSIP対応の端末機器/ソフトウエアとその利用方法を紹介する。

 現在のIP電話サービスの場合は、そのサービスを提供するプロバイダが指定または推奨するVoIPルーターを経由して、既存のアナログ電話機を接続する形態がほとんどである。企業向けのIP-PBXの場合、そのIP-PBXベンダーが提供する電話機(SIP電話機)を使うことになる。一方、SIPによるインターネット電話プロバイダの場合はそのほとんどが、無償のソフトフォンの利用を推奨している。

 日本国内で入手可能なSIP対応の電話機は非常に限られている。三洋マルチメディア鳥取、ナカヨ通信機、サクサ、岩崎通信機など多くの電話機ベンダーがSIP電話を開発、製造しているものの、一般には全くといっていいほど流通していない。そのほとんどすべてがIP-PBXベンダーやキャリア向けの製品である。

 欧米ではVoIP関連商品のみを販売する通販サイトがあり、簡単に多彩な端末が入手できる。もちろん特定のIP-PBXベンダーへのカスタマイズ製品もあるものの、SIP標準に準拠した汎用品が一般流通経由で数多く販売されている。たとえばVoiIPSupply.comでは、世界中のSIP製品をWebからオーダーできる。

 SIPによるインターネット電話を実現するためには、大きく分類して以下の3つの方法がある。
(1)VoIPルーターまたはアダプタにアナログ電話を接続
(2)SIP専用電話機(ハードフォン)を導入
(3)PCに専用ソフトウエアをインストール(ソフトフォン)
今回は、(1)について解説する。

VoIPルーターで既存アナログ電話をSIP電話として利用

 ユーザーが050のIP電話サービスを利用する場合、通常、プロバイダに申し込み、VoIPルーター/アダプタを設置し、そのアダプタに現在利用しているアナログ電話機を接続することとなる。このVoIPルーターなどはプロバイダからレンタルされたり、ユーザー自身で各プロバイダが認定した機種をPCショップなどで購入したりする。これで050のIP電話として利用可能となる。

 このVoIPルーターはほとんどの場合SIPプロトコルが実装されている(たとえば、Yahoo! BBはSIPではない)。VoIPルーターにはSIPアカウントやID、パスワードを設定できる。通常このアカウントは815012345678@proxy.sample.comのようなSIPアドレスとなっている。050番号をIDとして、プロバイダのSIPサーバーをドメイン名として指定する。