米Googleはさまざまな無償ツールを発表しており、衛星写真を駆使した動的な地図サービスである「Google Earth」やアクセス解析ツールの「Google Analytics」が代表的である。

 そして2006年5月、Googleはさらに「Google Trends」と呼ばれるツールをリリースした。この「Google Trends」は、マーケティングに活用できる可能性が高いツールとして、大きな注目を集めている。

 「Google Trends」はその名の通り、検索ポータルサイト「Google」で検索されたキーワードのトレンドが分かるツールだ。検索窓にキーワードを入力すると、そのキーワードに対する過去2年分の検索ボリュームの推移がグラフで表示される。例えば、「阪神」と入力してみよう。すると、リーグ優勝を果たした2005年の秋口にかけて、検索数が大幅に上昇していることがわかる。

 また「Google Trends」では、任意のキーワードについて検索が多い都市や地域も表示される。先ほどの「阪神」の入力結果を見てみると、神戸、兵庫、京都、大阪など、軒並み関西圏の都市名が上位に連なる結果となる。

 さらに、「Google Trends」では「巨人,阪神」のように2語以上のキーワードをカンマで区切ることで、検索ボリュームを比較することも可能だ。これら「Google Trends」の機能は、検索連動型広告の出稿をはじめとして、さまざまなマーケティング活動に活用することができそうだ。以下にいくつか思いついた使用例を列記したい。

 ・季節商品・サービスの検索サイクル調査

 「Google Trends」で季節性がある商品・サービスについて検索数を調べ、あらかじめ検索のピークを把握しておくことで、顧客獲得の機会を逃す危険性は少なくなる。例えば、「浴衣」や「旅行」というキーワードで調べると、例年の検索傾向がわかる。そのため、広告予算や広告出稿期間の計画を年間で立案することができる。

 ・商品・サービスの売れ筋地域調査

 都市・地域ごとの検索順位を通して、キーワードに対する検索ユーザーの地域属性を把握することができる。そのため、重点販売地域などを考える際に活用可能だ。具体例としては、「Google Trends」で「草津温泉」というキーワードを調べると、前橋や群馬といった同県内からの検索が多いことがわかる。そのため、旅行会社や旅館などはまず県内での宣伝活動を優先することが得策ではないかと想定される。

 ・製品ライフサイクル調査

 製品ライフサイクルとは、製品には寿命があり、導入期、成長期、成熟期、衰退期という4つの段階があるという考え方。通常は売上高や販売数を時系列に並べることでグラフ化するが、「Google Trends」で商品名を調査すれば、商品の話題性や認知度という基準で製品ライフサイクルを見ることができる。例えば、「ムシキング」で検索すると2005年8月をピークにしたライフサイクルが見える。

 ・ブランド浸透度の競合比較調査

 社名や商品名を「Google Trends」で競合企業と比較調査することで、ユーザーの注目度を計ることができ、自社の立ち位置が明確になる。例えば、「トヨタ,日産,ホンダ」で調べてみた結果と「toyota,nissan,honda」で調べた順位が異なるのが面白い。日本語圏ではトヨタ、英語圏ではホンダの注目度が高いということだろうか。

 当然、アイデア次第でより多くの活用方法が考えられそうだ。気になるキーワードについて、一度お試しになることをおすすめしたい。

(アウンコンサルティング 経営企画グループ 梅澤俊雄)





 本コラムは、アウンコンサルティングのサイト 「(((SEM-ch))) 検索エンジンマーケティング情報チャンネル」に連載中の「SEM特撰コラム」を再録したものです。同サイトでは、SEOや検索連動型広告など検索エンジンマーケティング(SEM)に関する詳しい情報を掲載しています。