転職したばかりですが,新たな職場の技術力があまりに低いので驚いています。同僚と最新技術について話そうとしても,会話が成り立ちません。自分がどんどん孤立していく気がするし,最新のITから取り残されていくようで不安です。
(Web系インテグレータ勤務,プロジェクト・マネジャー/男性・30歳)

A: 味方を探せ。きっかけをつかむまで耐えろ!

 私は4度も転職したので,あなたの気持ちはよく分かります。職場で浮いてしまった経験は,幾度もあります。転職者はいわば,“異邦人”のようなもの。どうしても職場では浮きがちなのです。ここはまず,ことわざ通り「郷に入っては郷に従え」で行きましょう。

 職場に早く溶け込むにはまず,そこでの常識を探りましょう。自分の常識と,新しい職場の常識があまりにも違いすぎると,ふとした行動がつまらぬ誤解を生んでしまうからです。私の場合,転職後3カ月はじっくりと職場の様子をうかがうことにしていました。

 職場の常識を効率良く探るには,まず味方を探すところから始めることです。1人でも結構ですから,友人を作りましょう。ランチに誘ったり,飲みに連れ出したりするのです。そして,職場のことを教えてもらいましょう。そうすると,いろいろなことが分かってきます。

 仕事の片付け方には,その職場なりの常識や暗黙のルールがあるものです。あなたの今の職場は,最新技術をあえて使わず,枯れた技術を使う方針なのかもしれません。周囲の社員は,新参者であるあなたを興味津々で観察しているのかもしれません。ひょっとすると,あなたの「自分は高い技術力を持っている」という自尊心の高さが,周りを遠ざけているのかもしれません。

 まず味方を作り,職場をじっくりと観察しながら,時が来るのを待つのです。あなたの実力が認められるきっかけが,きっとあるはずです。その段階でもし,その職場の技術力に問題があると感じたら,あなたがそれを率先して解決していけばよいのです。せっかくの転職,焦らずじっくりやりましょう。

奥井 規晶(おくい のりあき)
1959年神奈川県出身。84年に早稲田大学理工学部大学院修士課程修了。日本IBMでSEとして活躍後,ボストン コンサルティング グループに入社。戦略系コンサルタントとして事業/情報戦略,システム再構築,SCMなどのプロジェクトを多数経験。その後,アーサー・D・リトル(ジャパン)のディレクターおよび関連会社のシー・クエンシャル代表取締役を経て,2001年にベリングポイント(元KPMGコンサルティング)代表取締役に就任。2004年4月に独立。現在,インターフュージョンコンサルティング代表取締役会長。経済同友会会員,日本キューバ・シガー教育協会専務理事。