ピーター・ドラッカー氏言うところの「ナレッジワーカー(知的職業人)」の生産性をどう計るかは難しいテーマである。マイクロソフトと日本能率協会総合研究所は,その難しいテーマに取り組んだ。マイクロソフトは同社が11月15日から16日に開催したイベント「Microsoft Conference 2006」の1セッションで,両社が企画・実施した「ワークスタイル成熟度調査」の“さわり”を公開した。

 この調査は,プロジェクトの遂行や情報共有・活用など,企業の知的生産活動について複数の切り口から質問。回答を集計し,数値として算出した。設問としては例えば,「組織横断型のプロジェクトで,他部署のメンバーの予定を容易に確認できるか」,「他部署のメンバーと文書を交換・共有するサイトなどは容易に構築できるか」といったものがある。

 調査はマイクロソフトと日本能率協会総合研究所が企画・実施。調査対象は,500人以上の企業や団体に勤務する従業員で,2041人から有効回答を得たという。調査期間は今年7月から8月。

 マイクロソフトはこの調査結果を使って,業務スタイルのコンサルティングをしている。具体的には,調査結果をベースにして,企業の業務スタイルを定量的に評価する。情報共有,データ活用,生産性向上といった切り口ごとに“偏差値”を算出。「分野ごとに弱点を見つけて,ワークスタイルを改善すべきポイントを割り出す」(小柳津 篤ビジネスプロダクティビティテクノロジー部 部長)。そして,情報共有の方法や文書の扱い方など,業務改善を提案する。コンサルティングをするプロセスで,マイクロソフトはOfficeシリーズの効果的な利用方法を提案し,販促を狙う。

 マイクロソフトは2007年1月に出荷する新Office,「2007 Office System」シリーズで,情報共有・情報活用の機能を強化している。例えばサーバー・ソフトの「SharePoint Server」は情報共有やプロジェクト管理といった機能を強化している(SharePointの関連記事)。また「InfoPath」製品群では帳票など定型フォームによる情報収集機能を拡充している。

 しかし市場では多くの場合,「Officeシリーズは文書作成ソフトで,それ以上でもそれ以下でもない」という認識にとどまっている。マイクロソフトにとってはそれが大きな悩みだ。そこでマイクロソフトはこうした一連の活動を通じて,Officeシリーズの新機能の認知と市場の開拓,拡販を狙う。