写真●マイクロソフトの越川慎司インフォメーションワーカービジネス本部マネージャ
 マイクロソフトの「Live Communications Server 2005」(LCS)は,プレゼンス管理やインスタント・メッセンジャー(IM)機能などを提供するSIP(Session Initiation Protocol)サーバーであり,同社の「ユニファイド・コミュニケーション」構想の中核を成す。同社は無償のインスタント・メッセンジャー(IM)「Windows Liveメッセンジャー」を提供しているが,LCSなどにより,メッセンジャーを“正式な形で”企業内へ普及させようとしている。

 現在,多くのビジネス・パーソンが,家庭だけではなく,企業内でもWindows Liveメッセンジャーや「Skype」,「Yahoo!メッセンジャー」などの無償IMを使っている。だが,これらのIMはコンシューマ向けに設計されており,企業の管理者がログを取れないなどセキュリティ面での問題があるという。コンシューマ向けIMの企業内での利用は「今後禁止される可能性が高い」(マイクロソフトの越川慎司インフォメーションワーカービジネス本部マネージャ,写真)。

 そこでマイクロソフトは,ログ採取や暗号化などのセキュリティ面を強化した企業向けIMシステムを推進中。これはLCSやクライアント側のIMソフト「Office Communicator 2005」,同社が提供するASP(Application Service Provider)型のオンライン会議サービス「Office Live Meeting」などで構成する。

 「Word」や「Excel」,「Outlook」など同社オフィス製品と“統合”できる点も特徴だ。WordやExcel,Outlookなどのユーザー・インタフェースから,他ユーザーのプレゼンス(在席情報)を確認したり,メッセージの送信などが可能。これにより,アプリケーションを切り替える際に発生する思考の中断を抑制できるという。また,Office Communicator 2005のプレゼンスはOutlookのスケジュールと連動可能である。

 マイクロソフトはすでに大型事例もあるといい,「キリンビールは『Live Communications Server』を導入し,9000名がIMやプレゼンスを活用することで年間7億円のコスト削減を見込む」(越川氏)としている。

 同社は2007年には,次期製品「Communications Server 2007」や「Communicator 2007」,「Live Meeting 2007」,テレビ会議用のカメラ製品「Office RoundTable」の発売を計画中だ。