マイクロソフトは11月15日,東京都内で開催した「the Microsoft Conference 2006」で,「the 2007 Microsoft Office system」のサーバー製品の中核をなす「Office SharePoint Server 2007(SPS 2007)」の機能を紹介した。同社インフォメーションワーカービジネス本部の吉村徹也シニアプロダクトマネージャは,「SPS 2007は社内的に“Office Server”と呼んでいる。SPS 2007を中心に据えることで,オフィス業務の様々な領域でOfficeのクライアント製品は一層価値を高めることができる」とSPS 2007の位置付けを語った。

 実際,SPS 2007は従来の「SharePoint Portal Server 2003」から大幅に機能強化している。従来の“企業内ポータル作成ソフト”という位置付けに加え,社内のコンテンツ管理や電子フォーム機能などを追加したほか,ExcelやPowerPointなどのクライアント製品との連携も強化している(図1)。これまで「Content Management Server 2002」として独立したサーバー製品として提供していたWebサイトのコンテンツ管理システムも組み込まれ,「社内のポータルだけでなく,社外に向けて情報を提供する企業サイトも管理できるようになった」(吉村シニアプロダクトマネージャ)。


図1●Office SharePoint Server 2007のアーキテクチャ

 ポータル機能で大きく変わったのが,ブログやWikiなどのインターネットの世界で一般的に利用されている情報発信/共有手段を標準機能として取り込んだことだ(図2)。RSSフィードを生成する機能も新たに搭載,「ドキュメントの更新情報などをRSS形式で配信できるので,Internet Explore 7やOutlook 2007のRSSリーダー機能と組み合わせて情報を効率的に収集できる。これまではメールで通知するしかなかった」(吉村シニアプロダクトマネージャ)。また,SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)の要素も盛り込んだ。社内ユーザーの個人の情報や,組織階層,同僚や知り合いなどの情報を盛り込めるようにして,社員同士の横のつながりを作れるようにしたという。


図2●SPS 2007ではブログやWiki,SNSなどWeb2.0の要素を多く盛り込んだ

ExcelのシートをWebページとして発行する「Excel Service」

 Excel,Outlook,PowerPointなどクライアントのOffice製品との連携も強化した。新たにExcelのシートをWebページとして発行する「Excel Service」という機能を追加,ユーザーは公開したいシートやブックを指定して発行するだけで,SPS 2007のドキュメントライブラリ(保存領域)に登録でき,必要なデータだけを社内で共有できる(図3)。「発行した情報はWebブラウザ上で表示でき,見た目もExcelのシートとほぼ変わらない」(吉村シニアプロダクトマネージャ)。


図3●ExcelのシートをWebページとして表示したところ(手前がWebページ,奥がExcel 2007である)

 PowerPointのプレゼンテーション・データをSPS 2007に蓄積して,直接PowerPointから取り出したり,データを更新する「スライド・ライブラリ」という機能も用意した(図4)。このほか,Outlookで管理している予定表や連絡先,タスク,ドキュメントと,SPS 2007で管理する情報も双方向で同期が取れる(図5)。


図4●PowerPointのスライドを管理する「スライド・ライブラリ」

図5●SharePointの予定表をOutlookと同期できる

 企業内のコンテンツ管理機能では,「これまで別々なツールを使い分けていた文書の作成,承認ワークフロー,公開・共有,保管といった一連のライフサイクル管理を,SPS 2007上で一元的に管理できるようにした」(吉村シニアプロダクトマネージャ)。SPSのドキュメントライブラリのデータを保存する際には,同社のInformation Rights Managemet(IRM)と連携して,ドキュメントライブラリに対する権限に従って自動的に適切な権限がファイルに付加される(図6)。


図6●Infomation Rights Managementと連携して,文書にアクセス権限を設定したもの

 「従来のIRMでは一つ一つの文書に権限を設定する必要があったため,設定漏れなどが起こっていた。しかし,決められたライブラリに保管するだけで,文書ファイルに自動的に権限が付加されるのでそういった事態が避けられる」(吉村シニアプロダクトマネージャ)。