SMBに対して基幹業務システムの購入先とサービス/サポートを評価する調査を実施した結果、ディーラー別ではNEC系の評価が高かった。オービックなどメーカー系列以外の販売店やSIerも好評価。



 ノーク・リサーチは中堅・中小企業(SMB)に対し、基幹業務システムの購入先とサービス/サポートを評価する調査を実施した。この調査は約3000社(売上高5億円以上500億円未満でサーバーを導入している企業)が対象で、郵送によるアンケートを集計・分析したもの。調査期間は2006年6月から9月で、製造や建設、流通、小売り・飲食、サービスの5業種から合計908件のサンプルを得た。

図1●基幹系の業務システムの購入先シェア
チャネル販売と直販で、それぞれのシェアを示した [画像のクリックで拡大表示]
 まず基幹系業務システムを、直販で購入したのか、あるいはチャネル経由なのかを聞いたところ、9割近くが販売会社もしくはシステムインテグレータによる間接販売だった(図1)。こうした傾向は旧オフコン時代から変わらないが、どこのメーカー系列が最も多いかを集計したところ、どのメーカー系列に属さない「その他SIer」が38.9%と最も高かった。かつてのようなメーカー系列のチャネルより、マルチベンダーが進んでいる現状を端的に表している。メーカー系列別に見れば、大塚商会に代表される強固なチャネル網を抱えた「NEC系ディーラー」が21.9%となり、次いで「富士通系ディーラー」が17.2%、「IBM系ディーラー」が14.8%となった。

 具体的な購入先を聞くと、NEC系ディーラーの大塚商会と、独立系であるオービックの2社が多かった。「大塚商会」が8.0%、「オービック」が6.7%となっており、両社以外は数多くの販売店やSIerがひしめいている。

安いだけでは飛びつかない

 SMBは何をきっかけに基幹業務システムを購入し、さらにどうやって購入先を選定しているのかを見てみよう。現在、利用している基幹業務システムの購入のきっかけについては、「システムの老朽化」が圧倒的で63.1%という結果だった。「システム機器のリース期限切れ」が30.3%、「自社の業務と合わなくなった」が18.0%と続いている。

 現在、利用している基幹業務システムの「購入先選定基準」については「自社業務と合っている」が48.4%で最も高い。

 現在、利用している基幹業務システムの「購入先決定理由」についても、「自社業務と合っている」が40.5%で最も高く、次いで「以前使用していたものの後継版」が32.1%、3番手には「価格が安い」が29.1%で続く。

 「業務内容に合っているシステムで、なるべくなら以前使っていたものの後継版、安いことはもちろんで、保守などのサポートがしっかりしていること」が購入先決定の条件である。ITスキルや体制の問題から、自社でサポートをすることが難しいSMBにとって、システムの購入時にはソリューションプロバイダからのサポートを重視することは当然だ。


■伊嶋 謙二(いしま けんじ)
  1956年生まれ。矢野経済研究所を経て1998年に独立し、ノーク・リサーチを設立。IT市場に特化した調査、コンサルティングを展開。特に中堅・中小企業市場の分析に注力している。


本記事は日経ソリューションビジネス2006年11月15日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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