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イオンとダイエーのコスト戦略に学ぶ
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| 図1●イオンの変動費率と年間固定費額の推移 |
「2004年3月期の変動費率は0.876で,変動費型ビジネスといえますね。でも,あれれっ?2005年3月期は,固定費が4.65倍(3089億円→1兆4379億円)も増加しているぞ」
M係長が驚きの声をあげました。
「日立や松下とのデータと見比べると,小売業であるイオンのほうが固定費型ビジネスと評価されますね」
だから,予断は禁物だといったでしょう。
イオンでは2005年3月期以降,出店攻勢を含めて劇的な変化が起きているようです。対外的に公表される制度損益計算書に惑わされることなく,変動損益計算書を含めた分析を行ないたいものです。
参考に,イオンと提携することになったダイエーについて,総コストを固定費と変動費に分ける「固変分解」を行なってみました。なお,ダイエーは,2006年3月期から四半期報告を開示したので,固変分解は会計期間1期分(4つの四半期)だけです(図2)。
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| 図2●ダイエーの変動費率と年間固定費額 |
「なんとまぁ,変動費率が1.0を超えて,固定費額がマイナスになっているぞ!」
図2は,四半期報告制度を利用した固変分解の限界です。取得データが4件しかないのですから,やむを得ません。ただし,ここで重要なのは,ダイエーに固定費額のベースとなる固定資産がないと評価することではなく,ダイエーは変動費型ビジネスであると「相対評価」することです。ダイエーにも当然,イオンに匹敵するほどの固定資産はあるのですから。
変動費率が1.0近くをさまよう理由としては,いつくか考えられます。
1つめは,社内に商品開発力がなく,卸業者からの指示で商品を仕入れ,店頭に並べている企業体質を持っているケースです。この場合,商品は左から右へと一方的に流れ,変動費型ビジネスの傾向を強めます。
2つめは,リストラによってヒトやモノが削り取られ,操業度があっぷあっぷ状態に近い場合があげられます。これについては,拙著『ほんとうにわかる管理会計&戦略会計』の305ページでも説明しました。
3つめは,設備の老朽化です。ただし,最新鋭の工場や機械装置を備え,優良メーカーとされている企業であっても意外や意外,変動費率が毎期,1.0に近い値を示す企業が存在します。だからといって,製品開発力が乏しいわけではありませんし,操業度があっぷあっぷの状態であるわけでもありません。こうした企業は,産業組織論や原価計算理論といった別の観点から説明することができます。
ITは様々な情報を与えてくれるようになりましたが,それを解釈するチカラがなければ,有象無象のデータがパソコン画面に溢(あふ)れかえるだけとなります。
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■高田 直芳 (たかだ なおよし) 【略歴】 公認会計士。某都市銀行から某監査法人を経て,現在,栃木県小山市で高田公認会計士税理士事務所と,CPA Factory Co.,Ltd.を経営。 【著書】 「明快!経営分析バイブル」(講談社),「連結キャッシュフロー会計・最短マスターマニュアル」「株式公開・最短実現マニュアル」(共に明日香出版社),「[決定版]ほんとうにわかる経営分析」「[決定版]ほんとうにわかる管理会計&戦略会計」(共にPHP研究所)など。 【ホームページ】 事務所のホームページ「麦わら坊の会計雑学講座」 (http://www2s.biglobe.ne.jp/~njtakada/) |