カリフォルニア州ロサンゼルスの選挙管理委員の発言を紹介しよう。「(電子投票システム)『InkaVote』用に開発したソフトウエアは,(オープンソースではない)プロプライエタリなソフトウエアだ。ベンダーの開発したソフトウエアは,すべてプロプライエタリなソフトウエアだ。プロプライエタリなソフトウエアを望まない人が存在するとは,奇妙なことだ。オープンソース・コードを提供された人物は,そのコードをハックする方法を入手することになる。我々は,投票ソフトウエアがプロプラエタリであることは,セキュリティに効果的であると考えている」

 この発言は全くおかしい。発言者の意図していた――発言すべき――内容はこんな具合だろう。「コンピュータ・セキュリティに関する何らかの専門家が,投票ソフトウエアがプロプラエタリであることを例外なく望まないとは,奇妙なことだ。コンピュータ・セキュリティに無知な立場からいえば,私は秘密主義に価値があると考える」。この方が現実的になる。

 何度も繰り返し述べてきた通り,秘密主義とセキュリティは別物だ。多くの場合,秘密主義はセキュリティを損なう。

セキュリティと秘密主義:
http://www.schneier.com/crypto-gram-0205.html#1

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◆オリジナル記事「Voting Software and Secrecy」
「CRYPTO-GRAM October 15, 2006」
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◆Bruce Schneier氏は米Counterpane Internet Securityの創業者およびCTO(最高技術責任者)です。Counterpane Internet Securityはセキュリティ監視の専業ベンダーであり,国内ではインテックと提携し,監視サービス「EINS/MSS+」を提供しています。