最近,通信業界では謝罪会見が続いています。東西NTTによるひかり電話の障害の謝罪会見,そして昨日の10月30日は,携帯電話の番号ポータビリティ(MNP)のシステム障害を巡るソフトバンクモバイルの謝罪会見でした(写真)。
最近のお詫び会見にすべて出席し,さまざまな弁明を聞きましたが,昨日の会見は今までとは少し雰囲気が違ったものでした。ソフトバンクモバイルの孫正義代表執行役社長兼CEOの弁舌の巧みさが一役買っている面もあります。
代表的なものは,「サプライズにこだわり,さらにコロコロとサービス内容を変更していくため,こういうトラブルは起こるべくして起こったのでは」という非難の問いに対する孫社長の回答。「そういう面はあったかもしれないが,ユーザーの不満があれば少しでも早く改善していくというのが会社のポリシー。良かれと思ってやっている」と反論しました。
実際に孫社長は,お詫び会見にもかかわらず,ちゃっかりと料金値下げも同時に発表しています。こうした行動は確かに,「ユーザーの要望や不満への対応が早い」と言えますが,悪く言えば「場当たり的」でもあります。果たして孫社長の言葉は,どうユーザーに届くのでしょう。
これらはすべて市場を通じて判断が下されます。対応が早いと評価するユーザーが多いのか,場当たり的でいいかげんと判断するユーザーが多いのか,いずれも市場の評価は数字となって現れます。
記者会見の場では,場当たり的と見る雰囲気を多くの記者から感じましたが,さて市場はどう判断するのか。MNP開始の出だしはソフトバンクモバイルは劣勢の模様ですが,孫社長が言うように,「まだ本来の力は評価できない段階」であるのも事実。ユーザーの動きからしばらく目が離せそうにありません。
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