米メディアWiredに掲載された記事を紹介しよう。

 「盗まれた携帯電話機が叫び声を上げることに意味はあるだろうか?モバイル機器管理製品を手がける英Synchronicaは,意味があると考えている。Synchronicaの『Mobile Manager』サービスの利用者が携帯電話機を盗まれた場合,報告を受けたSynchronicaは遠隔地から携帯電話機を操作できない状態にするとともに,すべてのデータを消去し,血も凍るような叫び声を上げさせて犯人の度肝を抜く」

 この種のセキュリティ対策は,一般的に「利益享受の阻止(benefit denial)」に分類される。高価な衣服に装着される染料入りのタグと似ている。もしも店から衣服を万引きしてタグを外そうとすると,タグから染料が流れ出して一面に広がり,着られなくなってしまう。こうしたセキュリティ対策の有効性は,泥棒がそのセキュリティ対策が存在すること(あるいは,存在するかもしれないこと)を知っているかどうかに左右される。万引きを防ぐには効果的だ。だが,携帯電話機の窃盗防止には効果が薄いように思う。

 盗難対策に効果があるかどうかはともかく,盗まれた携帯電話機のデータを遠隔操作で消すのはよいアイデアだ。また,携帯電話機は盗まれるよりも紛失することの方がはるかに多いので,携帯電話機が「落とされてしまいました。持ち主に戻してもらえないでしょうか?」と穏やかに話すようにしたらどうだろうか?

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Copyright (c) 2006 by Bruce Schneier.


◆オリジナル記事「Screaming Cell Phones」
「CRYPTO-GRAM October 15, 2006」
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◆この記事は,Bruce Schneier氏の許可を得て,同氏が執筆および発行するフリーのニュース・レター「CRYPTO-GRAM」の記事を抜粋して日本語化したものです。
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◆Bruce Schneier氏は米Counterpane Internet Securityの創業者およびCTO(最高技術責任者)です。Counterpane Internet Securityはセキュリティ監視の専業ベンダーであり,国内ではインテックと提携し,監視サービス「EINS/MSS+」を提供しています。