Webマネジメント

 正確には、ウェブサイトマネジメントと言う方が分かりやすいのであろうが、いずれにせよ昔はなかった言葉である。マネジメントといっても、一つの単独サイトのマネージから大企業が展開するような数百~数千サイトの大規模サイト群、しかも国や地域を越えてのサイト群マネージまでそのスコープは幅広い。

 私はたまたま10年以上前より単独サイトから始まりソニーグループ全体のサイト群のサイトマネジメントを経験して、現在も継続してその業務に携わっているため、その概要等を皆さんへご紹介することでこの業界全体の活性化と発展につながればと思っている。インターネット黎明期においても弊社を含む企業サイト全体の発展の必要性を痛切に感じ、同様の活動をおこなってきた。

 十分ご存知のことだと思われるが、Webサイト自体は単なるコンテンツのかたまりであり、そのサイトの目的を円滑に成就させるのは、その情報の送り手から受け手までの系すべての機能がより満足される仕様を提供できないと成立しない。コンテンツ制作、サーバー、ネットワーク、端末、Webアプリケーションなどなどその時代時代でよりよい環境や経済的実用性が提供、改善されなければ実現できない。

 したがってWebをはじめとする情報伝達手段に関連する社内外の方々、企業等に訴え理解を求め、提案しつづけるのが私の仕事であったような気もする。これがこのような活動を続けている由縁である。

 Webマネジメントは、その規模や数にあまり関係ないような気がする。個人のサイトから企業の大規模サイトまで、おおきな考え方は共通しているのではないだろうか。もちろん細かな運用レベルでは千差万別だが、所詮人と人とのコミュニケーションという視点から考えると、大きな違いはないようだ。

 私の話もそのようなわけで、小規模のサイトの方々からそうでない方々まで多角的に見ていただき、ご意見ご鞭撻をいただければと思う。

Webサイトの重要性

 Webサイトもこの10年で大きく変わった。もちろん、技術革新やネットワーク環境の改善により電話回線にモデムをつかっていた昔から比較すると夢のような時代になったことも大きな要因だ。この環境の変化とともに、人々のライフスタイルも行動様式も大きく変わった。この変化をどれほどの方々や企業が理解し対応しているであろうか?概念的にはなんとなく分かっていても定量的に把握していない方々も多いのではなかろうか。

 特にメディアとしての存在価値やその影響力は人によっては想像を絶するかもしれない。ここではその詳細データや解説は割愛するが、その気で調べればすぐに分かるだろう。

 従来メディアと、メディアとしてのWebのポジショニングを確認して欲しい。特に人々が製品やサービスを購入する時に参照するメディアは、まずWebなのである。もちろん、従来メディアのTV,ラジオ、新聞、雑誌、交通広告等もその広告対象によってバラツキはあるものの、一般的に総じて言えば、Webの影響力大である。皆さん自身の行動パターンを振り返ってもそのように行動しているはずである。これは世界各国ほとんど同じ傾向のようだ。

 企業あるいは企業の経営層によっては、まだこれらの事実を把握せず従来の感覚のままマーケティングや広報活動をおこなっている会社も散見するが、これはまさしく10年古い経済活動をいまだに行っているということになる。

 広告代理店の方におこられるかもしれないが、前述の『従来メディア』対『Webをはじめとするネットワークメディア』との投資対効果を冷静に分析し、広告宣伝費全体の内訳のポーションの見直しが必要ではないだろうか。

 ここで従来メディアとWebとの違いは、他人の借りものか自分のものかの違いがある。他人のものはその値段を変えることは相当困難であるが、自分のものは自分で決められるメリットがある。

 つまり、言い方を変えれば、
 Webマネジメントとは自社の所有するメディアの価値を高める活動なのである。

 このような観点からこの仕事を考えると、鉄道会社の路線作り、町作り、列車の機種選定、ダイヤ構成、あるいは不動産開発ビジネス、などにも酷似していると思う。土地(坪単価)の値段をいかに高くするか、どのようなビルを建ててどのようなテナントを入れ、いかに多くのお客様をどのように誘引するか‥。などなど、Webマネジメントは、見えない、形のないネットワーク上のデベロップ作業なのだ。

 次回より、このWebをどのようにマネージすべきなのか、どのような課題があるのかなど、順次展開する予定だ。あまり、多大の期待をせず気軽に読んで欲しい。