カテゴリー:システム起動

質問

キーボードやマウスを操作しても思い通りに動かない

回答

キーボードやマウスが正しく設定されていません。設定ファイルを書き換える必要があります。ただし,テキスト形式のコンソール上で操作する場合と,グラフィカルなデスクトップ画面で操作する場合で設定ファイルが異なります。


難易度:★★★ 対象ディストリビューション:Fedora Core,Red Hat

 〔:〕キーを押すと「;」が入力されることがあります。これは,日本語配列のキーボードを利用しているにもかかわらず,Linux側は英語配列のキーボードに設定されていることが原因です。マウスもキーボードと同様に,異なるタイプのマウスが設定されている場合,動作しなかったり,誤動作したりします。

 正しく認識させるためには,キーボードやマウスの設定を書き換えます。ただし,グラフィカルなデスクトップ画面(X Window System上)で操作する場合と,テキスト形式のコンソール上で操作する場合で設定ファイルが異なるため,どちらの状況で正しい操作ができないのかを把握しておく必要があります。

 もし,テキスト形式のコンソール上で正しく操作ができなければ,キーボードなら/etc/sysconfig/keyboardファイルを,マウスなら/etc/sysconfig/mouseファイルを次のように書き換えます。

 キーボードの場合,/etc/sysconfig/keyboardファイル内のKEYTABLE値をキーボードのキー配列に合わせて変更します。

KEYTABLE=

 設定できる値は,/lib/kbd/keymaps/i386ディレクトリ以下の,「qwerty」や「azerty」などのキー配列名ごとに分類されたディレクトリ内にある拡張子「kmap.gz」のファイル名になります。

 例えば,日本語106キーボードを設定したい場合には,qwertyディレクトリ内に「jp106.kmap.gz」というファイルがあるので「jp106」を指定します。英語キーボードなら,同じディレクトリ内に「us.kmap.gz」ファイルがあるため,「us」と記述します。

 USB接続のキーボードを利用する場合には,

KEYBOARDTYPE=

の設定も追記します。

 書き換え後は,

$ su <br># /sbin/service keytable <br>restart

を入力して設定を反映します。

 一方,マウスの場合は/etc/sysconfig/mouseファイル内のMOUSETYPE値とXEMU3値を次に説明するように書き換えます。

 MOUSETYPEには,表1に示したようにマウスの種類に応じた値を書き込みます。特に「imps2」に設定されていて,ホイール・マウスが正しく動かない場合には,Microsoft IntelliMouseマウスと非互換の可能性があります。その場合は,「ps/2」を選択します。

表1●マウスの種類と設定値
表1●マウスの種類と設定値

 USBで接続されたマウスでも,PS/2ポートに接続されたマウスと同じ設定になります。

 XEMU3は,2ボタン・マウスの2つのボタンを同時に押す操作を,3ボタン・マウスの中央ボタンに置き換える設定(以下,3ボタン・エミュレーション)であり,「yes」と指定すると有効になります。

 FULLNAMEは,設定したマウスの種類が分かるように記述しますが,任意の内容で構いません。XMOUSETYPEの値は,グラフィカルなデスクトップ画面上でマウスを使う場合の設定であり,MOUSETYPEと同じ設定値になります。グラフィカルなデスクトップ画面上で使うマウスの設定は,後述する/etc/X11/xorg.confファイル(なければ/etc/X11/XF86Configファイル)にも記述する必要があります。DEVICEには,マウスに割り当てられているデバイス名を記述しますが,マウス・カーソルが正しい動きをしなくても移動すれば変更は不要です。

 書き換えたら,コンソールより,

# /bin/service gpm restart

を実行します。

 グラフィカルなデスクトップ画面上で操作するキーボートやマウスの設定は,/etc/X11/xorg.confファイル(なければ,/etc/X11/XF86Configファイル)のInputDeviceセクションに記述されています(図3)。

図3●グラフィカルなデスクトップ画面上で操作するキーボートやマウスの設定
図3●グラフィカルなデスクトップ画面上で操作するキーボートやマウスの設定
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 日本語106キーボードを利用するには,XkbModelオプションに「jp106」のキー配列を,XkbLayoutオプションの値を「jp」に指定します。また,Microsoftのホイール・マウスを利用するには,Protocolオプションに「IMPS/2」を,Emulate3Buttonsオプションに「no」(3ボタン・エミュレーションを利用しない)を,「Option "ZAxisMapping"」には「"4 5"」(この値の意味はX Window Systemのトラブルで詳しく説明します)を指定してホイール機能を有効にします。

 設定を書き換えたら,パソコンを再起動あるいはデスクトップ画面を再起動し,設定を反映させます。

 なお,ファイルを直接書き換えるのではなく,

# setup

を入力して起動する設定ツール(写真2)を用いても設定を書き換えられます。ただし,グラフィカルなデスクトップ画面上で操作するマウスの設定には,反映されないことがあります。

写真2●設定ツール
写真2●設定ツール
キャラクタ型のユーザー・インタフェースより各種設定ができます。