EIGRPはクラスレスルーティングプロトコルです。現在のルーティングプロトコルに必須の機能といってもよいルート集約の機能を自動的に実行する機能を持っています。さらにEIGRPは,異なるコストの経路間でのロードバランシング機能を持っているのも特徴です。今回はこの,ルート集約とロードバランシングの2つを学びましょう。

ルート集約

 ルート集約を実行すると,ルータのルーティングテーブルのエントリ数を少なくきるので,テーブルの検索時間を短くできます。また,ルーティングアップデートのパケットサイズが小さくなるので,帯域幅の消費を抑えることにつながります。

 EIGRPはディスタンスベクタ型のIGRPと同様に,クラスフル境界で自動集約を実行します。つまり,異なるクラスフルネットワークのインタフェースから経路情報を送信する場合,クラスフルネットワークの経路情報を伝えます。そして,ルーティングループを防ぐため,集約ルートを通知したルータのルーティングテーブルには,そのルートをNullインタフェースに送るエントリが作成されます。こうしておけば,集約したネットワーク中の実際にないあて先にパケットが入ってきたとしても,そのパケットはループせずに破棄されます(図1・2)。

 図1 自動ルート集約とNullインタフェース
自動ルート集約とNullインタフェース

 図2 show ip route
show ip route

 自動ルート集約は,デフォルトで有効になっています。ですが,非連続サブネットがあった場合は,ルーティングループを防止するため,自動ルート集約を無効にする必要があります。自動ルート集約が有効になっているかどうかは,show ip protocols で確認できます(図3)。

 図3 show ip protocols
show ip protocols

 自動ルート集約を無効化する場合は,no auto-summaryコマンドを使用します。

  • (config-router)# no auto-summary ・・・ 自動ルート集約を無効にする

また,手動でルート集約をすることもできます。手動でルート集約を実行する場合は,経路情報を送信するインタフェースの設定モードでip summary-address eigrpコマンドを使用します(図4)。

  • (config-if)# ip summary-address eigrp [AS番号] [集約アドレス] [サブネットマスク]
    • [AS番号]
      • routerコマンドで設定したAS番号

 図4 コマンドを使った手動ルート集約
コマンドを使った手動ルート集約

 ただし,手動でルート集約をした場合は,自動ルート集約機能を無効にしておかないと,手動・自動の両方の集約ルートが通知されるので注意が必要です(図5)。

 図5 手動と自動の二つの集約経路を通知したケース
手動と自動の二つの集約経路を通知したケース