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PDAユーザーの憂うつ

2006/11/02
小松原 健=ITpro

 ウィルコムの「W-ZERO3[es]」やNTTドコモの「BlackBerry」といったスマートフォンが注目を浴びています。その影で、スマートフォンの先祖?ともいえるPDA(Personal Digital Assistant)が絶滅の危機にひんしています。ソニーの「CLIE」,カシオ計算機の「CASSIOPEIA」,東芝の「GENIO」…,と次々に姿を消し,いまPDA市場は寂しいかぎりです。これはPDAを必要としない人が多いことの表れでもあり,多くの人にとっては“取るに足りない”ことなのでしょうけれど。

 筆者は,十年来のPDAユーザーです。もっとも十数年前は,いまの携帯とは言いがたいNECの「モバイルギアII」でした。いまの軽量ノート・パソコンに近いものです。その後,カシオ計算機の「CASSIOPEIA」をはじめ,さまざまなPDAを利用してきました。そのため,人一倍,PDAの行方を心配しています。

 国内のPDAは,米国からのPalmOS搭載機に始まりました(その前から,シャープの「Zaurus」がありましたが)。米US Roboticsを買収した米3Com(PDA部門は後に米Palm Computingとして独立)が「Palmシリーズ」,米Handspringが「Visorシリーズ」,米IBMが「WorkPad」,そしてソニーから「CLIE」と次々に新機種が登場しました。

 一方,Windows CE(Windows Mobile)を搭載するPocket PCも続々登場しました。カシオの「CASSIOPEIA」,東芝の「GENIO」,米Compaq Computer(後に米Hewlett-Packardが買収)が「iPAQ」,HPの−−。それぞれいくつもの機種を開発,販売し,選択肢は豊富でした。当然,PDAをターゲットにしたアプリケーションも豊富で,展示会などでも「PDA用●●ソフト」がいろいろ並んでいたものです。1990年代から2000年代初めのPDA市場は華やかでした。

 ところが,そのあとPDA市場は急速に冷えてきました。PDAブームに飛びついた人は多くいたものの,その大半は使い込むまでには至りませんでした。いま国内で普通に購入できるのは,HPのiPAQ,米Dellの「Axim」,台湾のMio Technologyの「Mio」くらいです。各社が用意する機種も,以前より少なくなっています。すでに選択肢が少なくて困っていますが,さらにそれが進み,そのうち“絶滅”してしまうのではと心配になります。

 世界的に見れば,PDA市場は順風満帆と言えないまでも,まあ堅調と言えます。もっとも,この場合のPDAには,従来型だけでなく,スマートフォンも含まれています。スマートフォンとは,PDAに携帯電話機能を追加した端末で,国内ではW-ZERO3[es]やBlackBerryなどがあります。

 PDAもスマートフォンも基本的な機能は同じです。アドレス帳やスケジューラ、それからWindows Mobileを搭載する端末はWordやExcelなどのOffice文書が扱えます。ほとんどの端末が無線LAN機能を標準装備しています。スマートフォンは、これに携帯電話やPHSによる通信機能が最初から組み込まれている、あるいは組み込むことを前提に設計されているところが異なっています。

 ならば、スマートフォンに乗り換えるという選択肢もありますが、魅力が感じられません。通信するなら無線LANのほうが使いやすいし、いろいろなシチュエーションを考えると従来の携帯電話機も必要です。

 それに、スマートフォンの未来は明るいのかというと、そうは思えません。無線LAN搭載のPDAがユーザーにあまり受け入れられなかったのに、携帯電話/PHS通信機能が付加したからといって普及するとは思えません。

 PDA、さらにスマートフォンの苦難の道は続きそうです。われわれメディアやベンダーは「PDAが利用できる」「PDA用の●●」などと“PDA”という言葉を使っていますが、その“意味”も薄れてきています。

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