ひところの隆盛と比べ,最近のADSL(asymmetric digital subscriber line)サービスはすっかり影が薄くなっています。FTTH(fiber to the home)の攻勢のあおりを受け,ユーザー数は6月末に減少に転じてしまいました。

 しかし筆者は,ADSLは捨てたものではないし,むしろ最近になってようやく魅力的なサービスに仕上がったとさえ思っています。

 数年前のADSLサービスと言えば,「伝送速度が最大50Mビット/秒」という売り文句が先行。50Mはおろか,10Mビット/秒程度の実効速度さえ安定して得られるユーザーはごく一部だったにもかかわらずです。ともすれば「看板に偽りあり」と取られかねないサービスを,インターネット接続事業者各社は月額6000円前後(加入電話回線の料金を含む)で積極的に売り込んでいました。

 これに対し最近では,最大伝送速度は1M~3Mビット/秒程度と控えめな代わりに,利用料金が月額3000円程度と割安なメニューが充実しています。

 1M~3Mビット/秒という速度は,ADSL本来の規格上の速度である最大6Mビット/秒に見合う水準。収容局との距離がよほど遠い場合でなければ,実効速度を十分に期待できます。これだけの実効速度があれば,現状のインターネット環境ではほぼ十分でしょう。それでいて,月額3000円台と戸建て向けのFTTHより割安。なかなか魅力があると思うのです。

 今後は3Mビット/秒以上の伝送速度をうたうサービスでも値下げが進みそうです。例えばニフティが10月2日に,最大12Mビット/秒で月額3409円(東日本地域の場合)からという新メニューを開始しました。

 かくいう筆者も,電話と共用しないADSLサービスを試しに契約してみようかと思っています。仕事の手が空いたときに事業者各社のWebページを眺め,サービス内容を比較検討している最中です。

この記事は日経コミュニケーション読者限定サイト
日経コミュニケーション Exclusive」から転載したものです。