セブン&アイ・ホールディングスのCIOを務める佐藤政行 執行役員

 セブン-イレブン・ジャパンやイトーヨーカ堂を傘下に持つセブン&アイ・ホールディングスでCIO(最高情報責任者)を務める佐藤政行・執行役員システム企画部CVSシステムシニアオフィサーは現在、セブン-イレブンの店舗システムと本部システムの全面刷新を指揮している。このプロジェクトは2006年5月末から開始。セブン-イレブンの全1万1000店以上を対象にし、IT(情報技術)投資額が500億円に達する巨大なプロジェクトだ。

 佐藤執行役員は、セブン&アイの鈴木敏文会長が訴え続ける商品発注時の「仮説-検証」の精度向上に改めて取り組み、いま一度コンビニエンスストアの現場に「単品管理」を徹底させようとしている。

 同時に佐藤執行役員は鈴木会長から、セブン&アイグループとしてのシステム統合メリットを強く求められている。そのため、グループ企業間でのシステムの重複を避け、統合できるものは統合していこうとしている。端的な例が、グループ全体でのネットワーク統合である。こうした統合効果により、佐藤執行役員はセブン-イレブンの新システムのコストを従来よりも30%引き下げることに成功した。

 グループのシステムコストで60~70%を占めるハード費用も、端末を統一することでコストメリットを出す。システム刷新はセブン-イレブンが先行するので、佐藤執行役員は今後セブン-イレブンで採用した端末をグループ各社で共通利用することを決めた。

Profile of CIO

◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・セブン&アイグループの事業拡大に伴って、当社の経営トップは多忙を極めています。それでもセブン-イレブン・ジャパンで毎週実施されるマネジャー会議や役員会、業務改革会議、店舗指導員のフィールドカウンセラー会議には経営トップも必ず出席して明確な方針を打ち出します。私自身、そうした会議で経営トップの方針を深く理解し、部下にも理解させるようにしています。

・日常業務については毎週、業務レポートを提出していますが、重要な案件については直接経営トップに報告するようにしています。トップから「この件は、お客様にとって、どういう利点があるのか?」などと指摘された時、自分が見落としていた点に気づかされてハッとすることもあり、勉強になります

◆ITベンダーに対して強く要望したいこと、IT業界への不満など
・当社では「ITベンダー」という言葉は使わずに、コンピュータ会社を「パートナーメーカー」と位置付けています。お互いが切磋琢磨して先進的な仕事することが共存共栄につながると考えています。コストにしてもタフな価格交渉ではなく、お互いが知恵を出し合い、仕事の仕方を見直して、効率の良い仕事をすることでコストも下がるようにしています。

◆普段読んでいる新聞・雑誌
・日本経済新聞
・夕刊フジ
・日刊スポーツ
・日経ビジネス
・日経コンピュータ

 学生時代に新聞社系の雑誌で3年半アルバイトをしていたことがあり、そもそも新聞や雑誌は好きです。特に、晩酌しながら夕刊のコラムを読むのは楽しい時間です。

◆お勧めの本
・最近読んだ本ではないですが、『競馬シリーズ』などで有名な作家のディック・フランシスの熱烈なファンです。最初に読んだのは学生時代の1975年で、シリーズ39作が我が家にそろっています。どの作品でも主人公は極めてタフで、生きることの厳しさや優しさなど、人としての生き様には共鳴するところが多いです。

◆仕事に役立つお勧めのインターネットサイト
・日経BP社などのメールマガジンを流し読みして、参考になりそうな記事をウェブサイトで確認しています。

◆情報収集のために参加している勉強会やセミナー・学会など
・日本経団連の情報通信委員会の中の情報化部会、ITガバンンスに関するワーキング・グループに参加しています。

 その時々のテーマで必要になる知識や情報は、本を読んだり、インターネットで確認したり、メーカーから教えていただいたりと、自分から貪欲に吸収して自分で判断するようにしています。

◆ストレス解消法
・ウオーキングを始めてから3年になります。週末には8km強のコースを、片足に1.2kgの専用シューズと250gの鉛を2本つけて、早足で歩きます。ダイエットにもなりますが、ウオーキングを始めてから一度も風邪を引いていません。