|
必聴講座ご紹介 Cloud Days Tokyo 2012 エムオーテックス Cloud Days Tokyo 2012 ヴイエムウェア Cloud Days Osaka 2012 アマゾン データ サービス ジャパン |
【中級】今こそ見直す 開発と運用の連携術 第2回Step2 情報を共有/維持する
出典:日経システム構築 2005年8月号
96ページより
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります) 役割分担や責任範囲を明確にしても,その履行に必要な情報を得られなければ絵に描いた餅になりかねない。 旭化成情報システムの開発担当者はかつて,サーバーに新規ジョブを追加し,動作スケジュールを適切に設定したにもかかわらず,ジョブが動かないというトラブルを経験した。原因は,新規ジョブを追加するという情報が運用担当者にきちんと引き継がれなかったことにあった。運用担当者が該当サーバーをメンテナンスしたときに,見慣れないジョブに気づいて,動作しないように設定を変えていたのだ。 こうしたトラブルを防ぐには,開発と運用の間で情報を確実に引き継ぐことが肝心だ。情報を引き継ぐ主な方法には,開発と運用を“一体化”することで情報の欠落を無くす方法と,逆に相互監視を強化して引き継ぎ漏れをチェックする方法がある。 開発と運用で一つのチームミサワホームの開発担当者と運用担当者は,情報の欠落を無くすためにシステム設計などの初期フェーズから一緒にプロジェクト・チームを組む(図4の左)。各担当者の責任範囲を明確化しているが,両者を一つのプロジェクトとして“一体化”しているので,「情報が確実に共有される」(基幹情報チーム マネージャー 松尾昇氏)。
キリンビジネスシステムの現場では,開発部門から運用部門に,あるいは逆に運用部門から開発部門に,同じ担当者が異動する(図4の右)*4。これも情報の欠落を無くすのに有効な方法だ。「業務やシステムに関する知識を散逸しない」(システム開発部 担当部長 佐々木辰也氏)ようになる。知識が属人化しないように,システムの担当者を複数にしている。 相互監視で漏れをチェックミサワホームやキリンビジネスシステムの現場で実践している方法は,各担当者が開発と運用の両方のスキルを持たないと採りづらい。担当者がどちらか一方のスキルしか修得していない場合には,両者を一体化して情報の欠落を無くすよりも,「相互に引き継ぎ漏れなどをチェックする」(東京海上日動システムズ 経営企画部 部長 コーポレートソリューションプロデューサー 小林賢也氏)という体制を整える方法が現実的だ。 東京海上日動システムズの開発担当者と運用担当者は,システム構築の重要なターニング・ポイントで,相互に状況をチェックし合う(図5)。そのためのプロセスと文書を整えている。
例えば要件定義の段階では,運用担当者が「運用要件確認会議」を主幹。運用担当者の要望をまとめた「運用設計チェックシート」を開発担当者に提示する。開発担当者は,カットオーバー直前の「移管評価レビュー」までに「ユーザーと応答時間やキャパシティで合意を得たか」「負荷テストを実施したか」「テスト・ケースの件数とバグ数は何個か」などの項目を埋め,提出する。運用担当者は,シートの内容と開発担当者のヒアリング結果を吟味し,移管を受け入れるか否かを決める。 移管評価レビューでは,開発担当者から運用担当者に「品質保証確認シート」も提出する。本番移行に当たり,どんなデータやリソースに注意を払うべきか,業務への影響を最小化するためにどの日程で作業すべきか,といった「気付きのポイントを開発当事者の視点で示してもらう」(ITサービス本部 ITサービス管理部長 ソリューションプロデューサー 土居達也氏)。 ただし,プロセスや文書を充実させると,「正直言って手間がかかる。(ここまで実施することになった)過去の経緯を知らない若い技術者を中心に『本当にここまで必要なのか』という疑問や反発が生まれている。どう教育して維持するかが課題」(プロジェクト推進本部 開発品質管理部 部長 ソリューションプロデューサー 小作(おざく)祐史氏)と悩みを打ち明ける。 掲示板とコードを関連付ける相互チェックの度が過ぎれば,開発と運用の仲がこじれかねない。お互いの関係を良好に保つ工夫が必要だ。 ソフトクリエイトの開発担当者と運用担当者は,情報交換に独自の掲示板システムを利用する(図6)。掲示板には,発言者ごとに顔写真や好きなキャラクタなどを使うことができる。「電子的なやり取りではお互いの顔が見えない。せめて,個性や人柄,趣味を見せることで,掲示板が殺伐になるのを防ぎ,情報交換が円滑になるよう工夫した」(プロダクト開発第1グループ グループ長 部長 沼田浩邦氏)。ディーシーカードの開発担当者や運用担当者も,キャラクタこそ使わないが,開発委託先であるインテックとの情報交換にグループウエア「サイボウズ デジエ」の掲示板を活用する。
情報の共有や交換を促進した結果,情報があふれて現場で整理できなくなっては意味がない。ソフトクリエイトの担当者らは,掲示板のスレッドに識別番号を表示し,それを使って情報を関連付けている。例えば,掲示板に掲載された不具合報告がきっかけで開発担当者がソースコードを修正する場合は,ソースコードの変更個所のコメントに掲示板の識別番号を明記する*5。同じような情報の関連付けは,ミサワホームの担当者も実施する。同社の場合は,ユーザーの変更依頼書などに識別番号を振り,関連付けに活用する。 (次回へ) |