仮想化ソフトウエアによって,1台の物理的なコンピュータ上で複数のOSを稼働できるようになった。仮想化は,データ・センターのような大規模環境でのサーバー統合にも適用できる。

 だが,仮想マシンをどんどん増やしていくと,ふと気づくことがある。仮想化ソフトウエアによるサーバー統合には,1台の物理サーバーで1つのOSだけを稼働している環境ではありえなかった大きな「課題」が存在するのだ。その課題とは,「複数の仮想マシンが1台の物理的なコンピュータのリソースを互いに奪い合う事象をどのように制御するのか」である。すなわち,各仮想マシンに対するリソースの割り当て方法である。

 コンピュータのリソースとは,一般的に次の4つを指し示すことが多い。(1)プロセッサ,(2)メモリー,(3)ディスク,そして(4)ネットワークだ。ここでは,これらのうち,VMware Infrastructure 3で機能が大幅に拡張されたプロセッサとメモリーに対するリソース割り当てに焦点を当てて,各仮想マシンに対するリソースの割り当て方法を解説する。

 VMware Infrastructure 3では,ディスク・リソースに関するI/Oの帯域を,「Shares Value」(後述)と呼ぶ比率値を使って仮想マシンごとに制御できる(図1)。また,ネットワーク・リソースについては,仮想スイッチや仮想スイッチのポート・グループごとに,「トラフィック・シェイピング」を適用して,帯域を制御できる(図2)。

図1●ディスクI/Oの帯域制御
図1●ディスクI/Oの帯域制御
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図2●ネットワークの帯域制御
図2●ネットワークの帯域制御