バックアップについて考える場合,まずはバックアップ対象と,それに対して求められるバックアップ要件(オンライン/オフライン,差分/増分/フル・バックアップ,日次/週次/月次など)を明確にする必要がある。ここでは,VMware ESX Serverを利用した仮想環境におけるバックアップ対象として何があるかを明確にし,具体的なバックアップ方法について説明する。

バックアップ対象

 VMware ESX Serverを使った仮想環境のバックアップ対象は,VMware ESX Serverそのものと,仮想マシン(ゲストOS環境)に分けられる。このうちVMware ESX Server本体は,短時間(15分~20分程度)でインストールが可能である。フル・バックアップを取るよりは,むしろ各仮想マシンのファイル(.vmxファイルや.nvramファイル)や,仮想スイッチなどの構成ファイルのバックアップを取ることが重要である。

 仮想マシンのバックアップに当たって,その対象は,ゲストOSのインストール方法によって異なる点を認識しておく必要がある(図1)。

図1●バックアップ対象
図1●バックアップ対象

 前回説明したように,ゲストOSには,仮想ハードディスク(vmdkファイル)にインストールする方法と,Raw Device Mapping機能を利用した物理ハードディスクにインストールする方法の2つの方法がある。どちらも,設定ファイル(vmxファイル)やnvramファイル,ログ・ファイルなどはVMFS領域上に生成される。

 仮想ハードディスクにゲストOSをインストールした場合,OSやデータは仮想ハードディスクに格納される。そのため,バックアップ対象となるのはこの仮想ハードディスクそのものである。ゲストOSとデータ領域を別々の仮想ハードディスクに分けることも可能で,その場合バックアップ対象の仮想ハードディスクは2つになる。

 一方,Raw Device Mapping機能では,物理ディスクのパーティションがOSやデータ領域の格納領域に使われる。そのため,バックアップ対象はパーティションそのものである。この場合,対象のパーティションが各ゲストOSのファイル・システムでフォーマットされているため,VMware ESX Server本体からはその中に格納されているファイルにアクセスできない。

バックアップ方法

 仮想マシンのバックアップ方法として,大きく分けて次の4つのパターンが挙げられる。

(1)VMware ESX Server上の1つの仮想マシンにバックアップ・サーバーを構築する。
(2)ネットワーク上にバックアップ・サーバーを構築する。
(3)ストレージ装置のスナップショット機能を利用する。
(4)「VMware Consolidated Backup」を利用する。

 それぞれのバックアップ方法に関して概要や構成上の注意点を説明する。