Virtual Sever 2005 R2の仮想マシンは,仮想マシン構成ファイル(.vmc)と,仮想ハードディスク(.vhd)の2つのファイルから構成されている。これらのファイルには自由に名前を付けられるが,認識しやすい名前にすることを推奨する。既定では,これらのファイルは「C:\Documents and Settings\All Users\Documents\Shared Virtual Machines」フォルダに格納されるが,必要に応じてこれらのファイルは任意のフォルダに格納可能だ。そうすることによって,適切なセキュリティ構成がより容易になる。

 管理を容易にするためには,仮想マシンごとに独立した単一フォルダに,これら2つのファイルを格納することを推奨する。復元ディスクや状態の保存ファイルなど,仮想マシンに関連づけられるほかのファイルは,仮想マシン構成ファイル(.vmc)と同じフォルダに作成される。

 Virtual Server上で稼働する仮想マシンのバックアップを取る方法は,大きく分けて2通りある。1つは,仮想ハードディスク(.vhd)のファイルをそのままバックアップする方法である。仮想ハードディスクなど,仮想マシンを構成するコンポーネントを変更する場合は,事前に仮想マシンをシャットダウンしておく必要がある。バックアップを取るときも,必ずシャットダウンしてから実行する。また,この場合は仮想ハードディスク単位でのバックアップになるため,ゲストOS上のファイル単位での変更などをバックアップしたい場合にはあまり適していない。

 さらに,以下のような一連の作業をスクリプトによって自動化することによって,定期的に仮想マシンをバックアップ可能である。Virtual Serverのスクリプト環境については,後ほど詳しく解説する。

(1)仮想マシンをシャットダウンする
(2)バックアップ・ソフトを実行し,.vhdファイルをバックアップする
(3)バックアップ完了まで待つ
(4)ログ・ファイルにエントリを記入する
(5)仮想マシンを再起動する

 2つ目の方法として,ゲストOS上にバックアップ・ソフトのエージェントを導入してバックアップを取得する方法がある。この場合は,別途構築したバックアップ・サーバーからネットワーク経由でバックアップを取ることになる。ゲストOSのファイル単位でバックアップできる。しかしながら,この方法では,仮想マシン全体のバックアップとリストアにやや手間がかかるため,必要に応じてバックアップ方法を検討し,適切な方法を選択すべきである。

仮想マシンの展開

 仮想マシンにOSを展開(インストール)する方法はいくつかある。物理マシンと同じように,ローカルまたはネットワーク経由で,CD-ROMなどのメディアまたはCDイメージ・ファイルなどから展開できる。それだけではなく,仮想マシンではさらにもう1つの方法がある。あらかじめ物理マシンと同様にOSをインストールした仮想ハードディスクを展開する方法である。同じ内容のゲストOSを大量にかつ迅速に展開可能になる。ここでは,それぞれの展開方法について解説する。

仮想ハードディスクによる展開

 Virtual Serverの特徴的な機能の1つに仮想ハードディスク(.vhd)の可搬性がある。仮想ハードディスクはホストOS上のファイルとして作られているので,一般的なファイルのコピーで,同じ内容の複数の仮想ハードディスク(仮想マシン)を作れる。

 しかしながら,OSをインストールした複数の仮想ハードディスクを作り,それを別々の仮想マシンとして運用すると,ホスト名やIPアドレス,WindowsのSIDなどが同じになり支障を来す。それを防ぐために,各仮想ハードディスクでSysprepを実行する必要がある。

 Sysprepとは,Windowsを複数のコンピュータに展開するために作られた,OS上の様々な設定を再構成するツールである。仮想ハードディスクをコピーする前に,オリジナルの仮想ハードディスク上で実行する。Sysprepは,Windows Server 2003やWindows XP ProfessionalなどのインストールCD-ROMの「\Support\Tools」フォルダにある「Deploy.cab」ファイルに収められている。

イメージ・ファイルを直接マウント

 Virtual Serverでは,ISO 9660のイメージ・ファイルを仮想マシンのCD-ROMドライブにマウントできる。CD-Rに書き込まずに,イメージ・ファイルを使ってゲストOSをインストール可能である。イメージを使用して仮想マシンにゲストOSをインストールする主な方法は,次の2つがある。

(1)仮想マシンのCD/DVDドライブに,ISOイメージ・ファイルを使用するように構成する。すると,通常のCD-ROMを使ったときと同様に,OSのインストールが開始される。

(2)Remote Installation Services(RIS)またはAutomated Deployment Service(ADS)を使用して,仮想マシンのセットアップ・イメージをコピーする。Virtual Server 2005 R2の仮想マシンはPXEブートに対応しているため,ネットワーク・ブートによるゲストOSの自動インストールが可能である。