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日経Linux

快適な言語入力環境を提供 SCIM(Smart Common Input Method)

2006/10/20
グッデイ 足永 拓郎
出典:日経Linux 2006年3月号  100ページより
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

シャンル:多言語入力システム 作者:James Su氏ほか
ライセンス:LGPL URL:http://www.scim-im.org/

 SCIMは,多言語入力環境をUNIX系OS上に提供するソフトウエアだ。Anthy等の日本語変換エンジンと併用することにより,快適な日本語入力環境を構築できる。GUI操作も分かりやすく,簡単に使える。

 SCIM(Smart Common Input Method)は,UNIX系OSにおける多言語入力環境の向上を目的にして開発が進められているソフトウエアだ。従来,UNIX系OSでは,フリーの多言語入力システムにはXIM*1がよく利用されてきた。例えば,これまで広く利用されてきたkinput2は,XIMに沿った日本語入力ソフトである*2。しかし,XIMには以下の問題が存在する。

・X Window System上でしか利用できない
・入力言語を動的に切り替えられない
・ユーザー・インタフェースが貧弱である

 これらの問題を解決すべく,SCIMやIIIMF*3,uim*4といった,マルチプラットフォームに対応した多言語入力システムの開発が進められている。それぞれ一長一短があるものの,主要なLinuxディストリビューションではSCIMが採用されるケースが増えつつある。

KNOPPIXやFedora Coreで採用

 例えば,SUSE LinuxやMandriva Linuxでは既にSCIMが採用されている。CD-ROMやDVD-ROMから起動して手軽に試せるLinuxディストリビューションとして好評のKNOPPIX日本語版でも,バージョン3.9以降ではSCIMが採用されている。また,Fedora CoreではこれまでIIIMFが採用されてきたが,現在開発中のFedora Core 5では,新たにSCIMが採用される予定だ。

SCIMとIIIMFでは何が違うのか

 SCIMとIIIMFの主な違いは,マルチユーザー・サポートの有無である。IIIMFの標準的な使い方では,言語処理の中核となるデーモンを,システム・デーモン(メイン・メモリーに常駐し,複数のユーザーが利用できるデーモン)として立ち上げる(図1)。これに対してSCIMの標準的な使い方では,通常のデスクトップ・アプリケーションと同様,ユーザーごとに自己権限のデーモンを立ち上げる形態になる(図2)。

図1 IIIMFの一般的な構成
複数のユーザーがキー入力制御(メソッド)用サーバーを共有する。

図2 SCIMの一般的な構成
各ユーザーごとに個別のキー入力制御(メソッド)用サーバーを起動する。サーバーは互いに干渉しない。

 メモリー使用効率の観点からは,前者の手法が有利だ。しかし,言語処理システムの開発者の視点では,前者の手法は処理が複雑になり,開発時の負担が大きい。そのため,より簡単に開発でき,機能・性能の向上が著しいSCIMを採用する動きが広がっていると見られる。

使いやすいGUIを備える

 SCIMの利点は,使いやすいGUIを備えていることである。従来の言語入力システムの多くは,設定を変更するためにテキスト・ベースの設定ファイルを直接編集する必要があった。これに対してSCIMでは,すべての設定をGUIで簡単に変更できる。

 また,Helperと呼ばれるプラグイン・ソフトをインストールすれば,読み方の分からない漢字を手書き入力(写真1)することも可能だ。さらに,従来の言語入力システムでは困難だった入力言語の動的切り替えも,GUI画面を用いてワン・クリックで行える。

写真1 SCIMでの手書き入力
Helperと呼ばれるプラグイン・ソフトをインストールすれば,読み方の分からない漢字を手書き入力できる。

SCIMのインストール方法

 Fedora Core 4では,Fedora ExtrasリポジトリにSCIMの導入に必要なすべてのパッケージが用意されている。これらのパッケージは,yumコマンドで簡単にインストールできる。GNOME端末で次のコマンドを実行するだけだ。

 日本語を入力するためには,SCIM本体に加えて,「IMEngine」と呼ばれるプラグイン・ソフトをインストールする必要がある。日本語入力を実現するIMEngineには,既存のIMの入力スタイルを継承しつつ改良を加えた「scim-anthy*5」「scim-canna」「scim-prime」「scim-skk」「scim-wnn」や、実験的に新たな使い勝手を模索する「ほのかたん」が存在する。また,「scim-uim」というブリッジを介することにより,uimの日本語入力モジュールも利用できる。ここでは,scim-anthyをインストールしよう。

 scim-anthyは変換エンジンに「Anthy」(詳しくは次ページ末の別掲記事「かな漢字変換エンジンのAnthy」を参照)を利用する。Anthyは上記コマンドでscim-anthyをインストールすると,自動的にインストールされる。また,Anthy用の辞書管理ツールである「霞(かすみ)」(http://kasumi.sourceforge.jp/)も同時にインストールされる。

 GUIで記号や漢字を入力したい場合は,「scim-input-pad」や「scim-tomoe」も一緒にインストールしておこう。

>>起動方法と設定方法
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