VMware Infrastructure 3.0では,その前バージョンに当たるVMware ESX Server 2.xと比べてライセンスの管理方法が変わった。ここでは,ライセンスの管理方法も含めて,VMware ESX Server 3.0とゲストOSの管理方法について説明する。具体的には,次の内容について触れる。

(1)VMware ESX Server 3.0とゲストOSのネットワーク構成
(2)VMware Infrastructure 3.0のライセンス管理
(3)Virtual Infrastructure Clientによる個別管理
(4)VirtualCenter Serverによる統合管理

 VMware ESX Server 3.0やゲストOSの管理方法は複数用意されているが,それぞれできることが異なる。例えば,仮想マシンの作成は個別管理と統合管理のどちらでも可能だが,システムの可用性を向上させる機能は統合管理でないと利用できない。また管理方法によってライセンスの管理も違ってくるので,これについても説明する。

3種類のゲスト管理方法

 VMware ESX Server 3.0でゲストOSを管理するには下記の3つの方法がある。

(1)ローカルのサービス・コンソールを使う
(2)Virtual Infrastructure Clientを使う
(3)VirtualCenterを使う

 (1)の方法では,仮想マシンの電源制御などは可能だが,仮想マシンにOSを導入できない。そこでVMware ESX Server 3.0や,そこで稼働するゲストOSを管理するには,(2)または(3)の方法を使う。これらの方法はどちらも,VMware ESX Server 3.0を導入したサーバー・マシンとは別に管理用のWindows端末を用意し,ネットワーク経由でVMware ESX Serverのサービス・コンソールにアクセスして管理する方法である。

 それぞれの管理方法を説明するには,VMware ESX ServeやゲストOSのネットワーク構成についての知識が必要である。まずはこれについて説明しておこう。

ESXのネットワーク構成

 VMware ESX Server 3.0のネットワークを構成する要素には,ゲストOSが利用するNICの「仮想NIC」,仮想マシンがほかの仮想マシンや外部のサーバーと通信するために利用するネットワーク・スイッチである「仮想スイッチ」,そして仮想NICが使用する仮想ポートをグループ化する機能の「ポート・グループ」がある。各仮想マシンには,1つ以上の仮想NICを作れる。また,ポート・グループには,VLANやチーミング・ポリシー,セキュリティ・ポリシーを設定可能である。

 仮想スイッチを作成する際,まずは仮想スイッチの通信タイプを選択する。通信タイプには,「サービス・コンソール・ポート」「VMkernelポート」「仮想マシン・ポート・グループ」の3種類がある。それぞれの内容は以下の通りだ。

 サービス・コンソール・ポートはVMware ESX Server 3.0を遠隔地から管理する場合に利用するもので,VMware ESX Server3.0のインストール中に構成する。VMware ESX Serverや,その上で動作するゲストOSを管理する場合,サービス・コンソールにネットワーク経由でアクセスする必要があるため,サービス・コンソール用の仮想スイッチを必ず作らなければならない。

 VMkernelポートは,VMotionを行う場合や,iSCSI/NASなどに接続する場合に利用する。また,仮想マシン・ポート・グループは,仮想マシンがほかのサーバーと通信する場合に利用する。

 仮想スイッチの通信タイプを選択した後,仮想スイッチが利用する物理NICを指定する。

NIC2枚以上の構成を推奨

 VMware ESX Server 3.0では,NIC(ネットワーク・インターフェース・カード)を2枚以上使うネットワーク構成が推奨されている。NICが2枚以上搭載されている場合,1枚目のNICをサービス・コンソール・ポート・タイプとして定義した仮想スイッチA,2枚目のNICを仮想マシン・ポート・グループ・タイプとして定義した仮想スイッチB,3枚目をVMkernelポート・タイプとして定義した仮想スイッチCとして設定するのが一般的である。ただし,1つの仮想スイッチに対して複数の通信タイプを指定可能である。

 また,1つの仮想スイッチに対して複数の物理NICを割り当てることにより,NICのチーミング構成を実装できる。例えばNICが2枚搭載されている場合には下記のような構成が可能である。

(1)1枚目のNICをサービス・コンソール・ポートとして定義した仮想スイッチA,2枚目のNICをVMkernelポートと仮想マシン・ポート・グループの2つの通信タイプを定義した仮想スイッチBとして設定する。

(2)2つのNICを1つの仮想スイッチAとして定義し,仮想スイッチAに対してサービス・コンソール・ポート,VMkernelポート,仮想マシン・ポート・グループの3つの通信タイプを設定する。

(3)2つのNICを1つの仮想スイッチAとして定義し,仮想スイッチAに対してサービス・コンソール・ポート,VMkernelポート,仮想マシン・ポート・グループの3つの通信タイプを設定する。ポート単位やポート・グループ単位でVLAN IDを設定することにより,複数セグメントに分割可能になる(図1)。

図1●VMware ESX Server 3.0のネットワーク構成例
図1●VMware ESX Server 3.0のネットワーク構成例