xyzzyは,Windowsで動作するテキスト・エディタ(以下,エディタ)です。UNIX上で広く使われている「Emacs(イーマックス)」に似た機能や操作体系を持ち,ソースコードも公開されています。

 xyzzyの大きな特徴は「バッファ」と「ウィンドウ」という概念です。バッファは編集対象となるテキストなどを格納する領域で,ファイルを開いたりした場合に自動的に作られます。一方,ウィンドウはバッファの内容を表示する画面上の領域で,xyzzyのアプリケーション・ウィンドウを任意に分割して作ります。バッファとウィンドウはそれぞれ独立しているので,各ウィンドウに別個のバッファを表示させることや,一つのバッファの別々の個所を複数のウィンドウに表示させることができます。これを使いこなせば,複数のソース・ファイルに分けて作ったプログラムをすべてバッファに読み込んでおき,キーボード操作で任意に切り替えて編集するといったことが簡単にできます。

 本家のEmacsと同様に,xyzzyもLisp言語の処理系を内蔵しているので,Lispのプログラムで動作をカスタマイズできます。実際に,様々なプログラム言語向けの編集を助けるパッケージや,xyzzyをWebブラウザやRSSリーダーとして動作させるパッケージなどがユーザーの手で作られています。

 半面,Windowsアプリケーションとしてはxyzzyはかなりクセの強いソフトです。メニューバーには[ファイル][編集][ヘルプ]などWindowsユーザーにおなじみのメニューがあるので,予備知識がなくても必要最小限の操作はできます。しかし,キーボード・ショートカットの割り当ては一般的なWindowsアプリケーションとは全く異なります。拡張機能を活用しようとすると,設定ファイルを編集するなどの作業も必要です。このため,一般的なWindowsアプリケーションに慣れた人にとっては使いにくく感じるかもしれません。

 用途を特化した便利なツールがたくさん作られている現在では,そのような面倒を乗り越えてまで汎用のエディタを使い込む意味があるのかと疑問に思う人もいるでしょう。しかし,エディタはプログラマがプログラミングのための使いやすさを追求することで発達してきたツールですから,プログラミングのスキルを上げるうえでは決してマイナスにはなりません。極端に言えば,xyzzyでなくとも構いません。エディタは有償,無償のものがたくさん作られていますから,いろいろなものを試して,ぜひ自分の手になじむエディタを見つけましょう。

図1●xyzzyで画面を分割して三つのウィンドウを表示。右上のウィンドウでは電卓機能が,右下のウィンドウではコマンドプロンプトがそれぞれ動作している
図1●xyzzyで画面を分割して三つのウィンドウを表示。右上のウィンドウでは電卓機能が,右下のウィンドウではコマンドプロンプトがそれぞれ動作している
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xyzzy
ジャンル:テキスト・エディタ
開発:亀井哲弥氏
URL:http://www.jsdlab.co.jp/~kamei/