「デザイナーとデベロッパのコラボレーションを促進させたい」――マイクロソフトのExpression担当者に聞くExpressionファミリーは,グラフィックス・ツールの「Graphic Designer」,リッチ・コンテンツ制作ツールの「Interactive Designer」,HTML制作ツールの「Expression Web」の3製品で構成する。マイクロソフトは,このうち日本語版の第1弾として2006年9月12日,「Expression Web 日本語ベータ版」を同社のサイトで公開した。 同社デベロッパー&プラットフォーム統括本部デベロッパービジネス本部デベロッパー製品部の鈴木祐巳シニアプロダクトマネージャと,同プロダクトマーケティンググループの竹内洋平シニアプロダクトマネージャに,同社のデザイン・ツールの方針,Expressionファミリーの狙い,今後の出荷計画などを聞いた。
■Expressionはどういう位置づけのブランドなのですか。2007年に出荷が予定されているWindows Vistaは,Windows上でリッチなユーザー・インタフェースを実現する新技術WPF(Windows Presentation Foundation)を備えています。この技術を有効利用させるためにキーとなってくるのがクリエイティブな意識とスキルを持ったデザイナーの方々です。魅力的なアプリケーションやWebサイトの構築には,デザインについて深い知識やスキルを持ったプロフェッショナルが欠かせません。そういったプロのデザイナーの方々に,VistaやWPFが持っているポテンシャルを十二分に引き出してほしい,ということでExpressionファミリーを用意しました。 このあたりは,10月26日に開催予定の弊社イベント「REMIX Tokyo」で,より具体的に紹介していきたいと思っています。 ■Expressionファミリーは,プロのデザイナーだけのツール群なのでしょうか。Expressionファミリーはすべてプロフェッショナルなデザイナー向けの製品としてポジショニングしていく予定です。Web標準に沿ったコードを出力できるようにしているので,プロの方に十分満足してもらえると思います。ただ,それだけではなく,誰でも使いやすい操作性も目指しています。Web制作やデザインについてのスキルが乏しい方でも,安心して使えると思います。 ■Expressionファミリーは,どんな製品と競合するのでしょうか。
それぞれの製品の単純な機能を見ていけば,例えばGraphic DesignerならIllustratorなどのグラフィックス・ツール,Expression WebならDreamweaverやホームページビルダーなどのHTML制作ツールが競合してくるでしょう。しかしマイクロソフトとしては,Expressionファミリー全体で,デザインにおける新しいソリューションを提案したいと思っています。 ■XAML(Extensible Application Markup Language)とは,どういうものですか。
デザイナーとデベロッパのための共通言語です。これまでデザイナーとデベロッパーとの間でコラボレーションは,必ずしもうまくいってなかったと思います。せっかくデザイナーがきれいなデザインをしても,それをWindowsやWebのフォーム上でうまく実装できていなかったり,変更が発生すれば一からやり直しという状況があったと思います。そのような問題を解決するために,私たちはXAMLを開発し,デザイナーとデベロッパの共通言語として使えるようにしました。 ■デザイナーとデベロッパ(プログラマ)のコラボレーションが良好になると,どんなメリットがあるのでしょうか。
一つは,今申し上げた開発生産性の向上です。もう一つは,新しい環境における新しいタイプのアプリケーションの誕生を促すことでしょう。しかし,私たちだけですべてを創造できるとは思っていません。新しいアプリケーションの糸口は,Expressionファミリーを使っていただくデザイナーやクリエーターの皆さんが見つけていくものです。 ■現実には,デザイナーとデベロッパのコラボレーションは簡単ではありません。確かに,デザイナーとデベロッパのコラボレーションが進んでくると,どこまでがデザイナーあるいはデベロッパのカバーする部分なのか,わかりにくくなるという声があります。というのも,例えばInteractive Designerを使えば,データ処理や簡単なコード出力といった,本来ならデベロッパの作業領域である部分まで一部できてしまうからです。Expressionを活用してコラボレーションを円滑に行っていくために,今後,デザイナーとデベロッパで,どこまでがそれぞれの作業領域なのか,ということを明確にすることが必要になるでしょう。弊社としても,そのための考え方や使い方を提案していけたらと思っています。 ■WPFやXAMLといったテクノロジは,Flashに対抗するものなのですか。いいえ。Flashが適している環境ならFlashを使えばいいでしょうし,デバイスやプラットフォームの環境によってWPFのほうが効果的ならばWPFベースのInteractive Designerを使えばいいでしょう。使い分けの問題だと思います。とはいえ,私たちはハードウエアの進化に,ソフトウエアも着実に追従していくべきと考えています。その意味で将来性があるのはFlashよりWPFのほうだとは思います。 ■日本語ベータ版が公開中のExpression Webの特徴は何でしょうか。Expression Webは,HTMLのオーサリングという面はもちろんですが,Web標準の技術に準拠している点,そしてサイトの運用にも強い点が大きな特徴だと思っています。Webサイトは一度作ったら終わりではありません。メンテナンスはずっと続きます。そのとき,既存のサイトの情報を分析する機能や,サイト内の膨大なファイルやリンク関係の整合性をチェックする機能は,かなり役立つと思います。 ■Expression WebがHTML制作ツールだとすると,FrontPageの後継製品なのでしょうか。確かにExpression Webは,現行のFrontPageのテクノロジを引き継いでいます。しかし実はFrontPageの後継としては,もう一製品「Microsoft Office SharePoint Designer 2007」があります。Expression Webはインターネット向けWeb制作ツール,SharePoint Designer 2007はイントラネット向けのサイト構築ツールという位置づけになっています。今後Expression Webのバージョンアップが進めば,両者の性格付けの違いが明確になっていくと思います。■Expression Webのベータ版やInteractive Designerなどの技術評価版を使ったユーザーの評判はいかがですか。全体的にとてもポジティブな意見をいただいています。Expression Web日本語版ベータについては,日本語版が出たことによってダウンロード数も飛躍的に増えました。また,Interactive Designerについては英語ベースの技術評価版にもかかわらず,最もダウンロード数が多くなっています。WPFという技術に興味を持っているデザイナーやWeb制作会社が新しい技術の可能性を試されているようです。実際,WPFやXAMLについての質問や意見も多数寄せられています。 ■Expressionファミリーの出荷予定を教えてください。Expression Webは,2007年早々に出荷開始する予定です。Graphic Designer,Interactive Designerについては,英語版が2007年の4月〜6月程度に出荷開始見込みなので,日本語版はその後になるでしょう。とはいえ,Windows Vista上のアプリケーション開発を支援するツールという位置づけ上,できるだけ早い段階で日本語版ベータも出していきたいと考えています。製品版の正式な発売日や価格は現時点ではすべて未定です。 連載新着連載目次へ >>
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