日経マーケット・アクセスが行った企業情報システム担当者調査で,2006年8月のIT予算執行が何らかの分野で予定通りでなかった,とする回答者の,予算執行が予算通りでなかった理由を,今度は企業規模別に見てみた。

 ここでは,利用就業者数「1000人以上」の大規模ユーザー(平均執行率-5.0%,10月13日付け記事参照)で,4分の1以上が「プロジェクトの先送り」を挙げている。「工程見直しによる1カ月程度の短期変動」も8.8%で,中規模ユーザーや小規模ユーザーよりやや高めだ。

 例年,新システムの稼働開始のヤマとなる半期末の9月を前に,8月は夏休み期間を利用した最終テストにあてられることが多い。比較的大規模なシステムで,テスト段階を迎えて開発作業の進ちょく遅れが表面化し,他のプロジェクトへの着手や,進行基準での経費計上が先送りされた事例が多く出たと見られる。

 これに対して,予算超過傾向(平均執行率+0.8%)だった「300人未満」の小規模ユーザーは,「担当領域全般としては予算通り」という回答者が75.0%の高率だが,それ以外の回答者の約3割が「新プロジェクトの発生」というプラス側の要因を挙げている。

◆注
 調査実施時期は9月中旬,調査全体の有効回答は377件。「平均の予算執行率」は,選択式回答の「50%超の未達」を-65%,「20%~50%の未達」を-35%,「10%~20%の未達」を-15%,「10%未満の未達~10%未満の超過(ほぼ予算通り執行)」を0%,「10%~20%の超過」を+15%,「20%~50%の超過」を+35%,「50%超の超過」を+65%に換算して加重平均した。
 「企業規模」は,「回答者が担当・関与する情報システムを利用している就業者数(従業員,パート/アルバイト,派遣就業者を含む)」について聞いたものである。

図●8月のIT予算執行が,予算通りでなかった理由(回答者の担当領域全般について,企業規模別)