Samba(サンバ)とは,UNIX系OS上でWindowsサーバーの機能を提供するオープンソースのソフトウエアです。Sambaを使うことによって,Windowsサーバーが提供しているファイル・サーバー機能,プリント・サーバー機能,ドメイン・コントローラ機能などを利用することができます。

 Sambaの開発はSamba Teamと呼ばれる開発者グループを中心に行われており,既に10年を越える歴史があり,多くのユーザーがSambaを利用しています。

 そこで本連載では,Sambaの最新情報や,Sambaの利用に関するTIPSなどをお伝えしていく予定です。

Sambaの概要とロードマップ

 現在,提供されているのはSamba 3.0系と呼ばれるバージョンで,最新版は2006年9月1日にリリースされた samba-3.0.23cです。

 Samba3.0系では,LDAPと連携することによって,Windows NTサーバー互換のドメイン管理機能を存分に利用することが可能になっています。実際,NTサーバー互換とはいえユーザー認証やファイルのアクセス管理など,Windowsファイルサーバーとしての基本機能を利用することができるうえ,クライアントアクセスライセンス(CAL)が不要になるといったコスト面でのメリットも大きいため,Windowsサーバーの代わりにSambaを選択するユーザーは増えています。また,WindowsとLinuxなどの混在環境においても,ユーザー認証の統合管理が可能になるため,今後,Sambaの活躍する場面はより広くなっていくことが期待されます。

 一方,現在平行して開発が進められている,Samba4と呼ばれる次のバージョンでは,SambaがActive Directoryサーバーとして稼働可能になることが大きな特徴となっています。現時点では2006年3月にリリースされた 4.0.0 TP2(Technology Preview)が最新版ですが,これはテスト用のリリースとして位置付けられており,実運用に利用できるようになるまでは,まだしばらく時間が必要です。

 なお,SambaのロードマップやSamba LDAPの活用方法については,10月19日,私が講師を務める無料セミナーでも紹介する予定です。興味のある方はお早目にお申し込みください。

http://www.osstech.co.jp/event/2006-10-19.html

Sambaのバージョンの選び方

 Sambaを利用する際には,LinuxディストリビューションなどのOSに含まれるパッケージを利用したり,ソースからコンパイルして利用したりすることができます。

 OSベンダーから提供されるSambaを利用する場合,OSのリリース時期にリリースされていたSambaのバージョンがOSに含まれて提供されることになります。この場合,Sambaにセキュリティ問題が発見された場合には,セキュリティの脆弱性のみを修正したSambaのアップデートパッケージが提供されることがほとんどです。しかし,Sambaを運用する場合,クライアントとなるWindowsの修正の影響を受けることがあり,問題を回避するためにはSambaのバージョンアップが必要となることがあります。

 このため,基本的には最新版のSambaを利用することが望ましいといえます。

 Sambaの最新版を利用するためには,ソースからコンパイルする方法が一番近道です。OSごとにコンパイルオプションなどの詳細は異なりますが,基本的には同じ手順でコンパイルすることができます。

 今回はCentOS 4.4上でSamba 3.0.23cをコンパイルする方法を紹介します。

1. Sambaのソース(samba-3.0.23c.tar.gz)を以下のFTPよりダウンロードします。

ftp://ftp.samba.gr.jp/pub/samba/samba-3.0.23c.tar.gz

2. 適当なディレクトリでソースファイルを展開します。

$ tar xfzv samba-3.0.23c.tar.gz

3.sambaのソースディレクトリに移動します。

$ cd samba-3.0.23c/source

4. sambaのコンパイルオプションを指定して,configureを実行します。

$ ./configure --with-acl-support --with-pam --with-pam_smbpass --with-quotas
 
ほとんどのコンパイルオプションはconfigureスクリプトによって自動的に判別されますが,上記で指定したオプションなど,いくつかのオプションはデフォルトでは無効になっているものもあります。

 コンパイルオプションの詳細は,

$ ./configure --help

で調べることができます。

5. 無事にconfigureが完了したら,makeを実行します。

$ make

6. sambaのmakeが完了したらrootユーザーになり,sambaをインストールします。

$ su
# make install

 以上の操作でsamba-3.0.23cがシステムにインストールされます。