私は「SlashDot」に掲載されていたこの話が気に入っている。「1980年代のヨセミテ国立公園では,クマが深刻な問題だった。クマがキャンプ場に入り込み,ごみ箱をあさるのだ。こうした状況は,クマと人間の双方に危険を及ぼす。そこで国立公園局は,開けることの難しい丈夫なごみ箱を導入し始めた。このごみ箱には取っ手が二つあって,そこに付いている留め金を外すなどしないとふたが開かない。ところが実際に導入してみたら,そのごみ箱のデザインをいかすことが非常に難しいことが分かった。ふたを開ける仕組みが複雑過ぎて,そもそも人間が開けてごみを捨てることができないのだ。ある公園管理人は『最も賢いクマと最も愚かな観光客の知能レベルは,ほぼ一致する』と語った」

 これは,バランスを取ることが非常に難しい問題だ。人間は賢いものの,「ごみ箱を開ける」という問題の解決に多くの時間をかけるような忍耐心や欲求を持っていない。クマは愚かだが,ごみ箱を開けることに執着しており,何時間でも試そうとする。この二つを前提条件とすると,人間に便利でありながらクマにとって開けにくいごみ箱を作ることは簡単でない。

http://yro.slashdot.org/comments.pl?...

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◆オリジナル記事「Human/Bear Security Trade-Off」
「CRYPTO-GRAM September 15, 2006」
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◆この記事は,Bruce Schneier氏の許可を得て,同氏が執筆および発行するフリーのニュース・レター「CRYPTO-GRAM」の記事を抜粋して日本語化したものです。
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◆Bruce Schneier氏は米Counterpane Internet Securityの創業者およびCTO(最高技術責任者)です。Counterpane Internet Securityはセキュリティ監視の専業ベンダーであり,国内ではインテックと提携し,監視サービス「EINS/MSS+」を提供しています。