長谷 和幸(ながたに かずゆき)
アイテック情報技術教育研究所 主席研究員

 今回は,電子メールを受信するときに使うプロトコルの一つであるIMAP4(アイマップフォー)*1について学習しよう。取り上げる問題は,平成15年度午後I問3から該当部分を抜粋したものである。

 ネットワークの解説書などを読むと,IMAP4は電子メール受信用のプロトコルとしてPOP3(ポップスリー)*2と並んで必ず出てくる。しかし,実際に普段IMAP4を使ってメールを受信しているという人はほとんど見かけない。その理由はなぜなのか。しくみ的にPOP3とどこが違うのか。このあたりを理解することが試験対策のカギとなる。

今日の問題
(平成15年度午後I問題の問3から抜粋)

問 小規模ネットワークの構築に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。

 K社は,不動産仲介業を営む,社員が数名の会社である。パソコンの知識をある程度もっている社員のR君が,ネットワークの構築と運用を担当している。K社では,昨年から,電話回線にパソコンを接続し,ISPへのダイヤルアップ接続でインターネットを利用してきた。当初は,Webの閲覧と電子メール(以下,メールという)の利用から始めた。その半年後に,営業内容の広報のためにWebでの情報発信も始めた。これらは,ISPのドメイン名を使用したサービスによって実現されていた。1年が過ぎて,インターネットの有効性も実証されたので,外出先からの利用及びK社専用のドメイン名(以下,独自ドメインという)の利用を計画している。

〔外出先からの利用〕

 K社の社長は,会社に設置したパソコンからだけでなく,携帯電話でISPにダイヤルアップ接続できるノートパソコンを使って,外出先においてもWebの閲覧とメールの利用を始めた。期待どおりの効果はあったが,メールの受信量が多くなるにつれて,通信時間が長くなり,通信料も増大した。その改善の指示を受けたR君は,社長の友人でパソコンショップを営むW氏に改善策を相談した。

 次は,W氏の改善策の要旨である。

 インターネットでメールを転送する標準的なプロトコルは,である。メールは,このプロトコルで転送され,あて先のメールサーバのメールボックスに格納される。メールボックスからパソコンにメールを取り出すプロトコルには,やIMAP4などがある。

 外出先からの利用において時間がかかるのは,を使っているからである。社長の受信メールは1日当たり60通あり,その20%に添付ファイルがある。添付ファイルは1通当たり平均300kバイトであり,添付ファイルを除く受信メールのデータ(以下,メール本体という)は1通当たり平均5kバイトである。したがって,添付ファイルの1日分の合計は,kバイトであり,メール本体の1日分の合計は,kバイトである。これらの全データを取り出すための所要時間は,実効転送速度が毎秒1kバイトなので分である。

 IMAP4では,受信メールの添付ファイルを取り出さないこともできる。添付ファイルのうち,外出先で取り出す必要がないものが75%なので,その添付ファイルの合計は,kバイトになる。したがって,IMAP4を利用すると,取り出すための所要時間が分短縮できる。

 R君は,ISPのメールサービスの仕様を調査し,IMAP4を利用できるように設定の変更を行い,外出先からの利用における問題点を解決した。

設問 外出先からの利用に関する次の問いに答えよ。

(1)本文中のに入れる適切な字句を答えよ。 

(2)本文中のに入れる適切な数値を答えよ。

(3)R君は,IMAP4を利用して,必要な添付ファイルだけを取り出すことにしたが,どのような使い方を想定したと考えられるか。IMAP4の特徴に着目して,30字以内で述べよ。

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