日経コンピュータが実施した「企業のIT力調査」で浮かび上がった大手企業のシステム部門の実態を紹介する連載の4回目は、「運用・保守」を取り上げる。まず、社内で使っているハードウエアやOS、ミドルウエアなどを、すべて最新の状態で一元管理しているか聞いたところ、「全社の最新情報を一元管理している」企業が、調査に回答した178社のうち43.3%だった(図1)。セキュリティ強化や日本版SOX法対応、コスト削減などの目的で、システム資産を一元的に把握することの重要性が高まっているようだ。

図1●社内で使っているハードウエアやOS、ミドルウエアなどを、すべて最新の状態で一元管理しているか(%)
図1●社内で使っているハードウエアやOS、ミドルウエアなどを、すべて最新の状態で一元管理しているか(%)

 反対に、「一部には管理しきれていないシステムがある」と答えた企業が55.1%。「ほとんど把握できていない」企業も1.7%あった。半数を超える企業が完全には把握できていないことになる。

 178社のなかでITアウトソーシングを利用している企業134社に、どの分野で利用しているかを複数回答で聞く質問も用意した。その結果、134社中115社が「運用」と回答。8割を超える企業が運用業務を何らかの形でアウトソーシングしていることがわかった。「保守」をアウトソーシングしているのは103社で、「開発」は90社。「企画」は10社だけだった(図2)。

図2●どの分野でITアウトソーシングを利用しているか(複数回答、社数)
図2●どの分野でITアウトソーシングを利用しているか(複数回答、社数)

 メインのデータセンターが災害などの被害にあった際に、事業を継続するためのバックアップ・センターがあるかについては、「ある」と答えた企業が33.1%だった(図3)。その2倍近い64.0%が「ない」と答えた。事業継続計画(BCP)の策定が不十分な企業が少なくない実態が明らかになった。

図3●メインのデータセンターが災害などの被害にあった際に、事業を継続するためのバックアップ・センターがあるか(%)
図3●メインのデータセンターが災害などの被害にあった際に、事業を継続するためのバックアップ・センターがあるか(%)

 日経コンピュータでは、企業の「IT力」を、「IT投資の管理」、「ユーザー・サポート」、「IT部門の組織づくり」、「システムの全体最適化」、「品質・プロジェクト管理」、「システム企画」、「運用・保守」の7分野に基づき分析。大手企業の「IT力」を数値として算出した。詳しいランキングは、こちらのページで紹介している。

 「企業のIT力調査」は日経リサーチの協力で実施。上場企業・非上場有力企業2223社に調査票を送付し、今年5月から8月にかけて178社から有効回答を得た。調査票のうち、意見を聞くものや全体の傾向の分析だけに使うものを除いた63の設問(副設問含む)について編集部が配点。さらに、日経コンピュータが主催する「システム部長会」の会員45人から寄せられた、質問項目の重要さに関する意見を配点に反映して出したスコアを算出、偏差値化してランキングを作成した。調査票の詳細および178社の回答企業一覧も、上記で紹介したページに記載している。