9月21日から24日までパシフィコ横浜で開催されたA&Vフェスタ2006(主催:日本オーディオ協会)に展示されたオーディオ製品について紹介する。50社が出展し,4日間で6万380人が訪れた。展示会では映像関連の展示もあったが,ここでは,オーディオに絞って報告する。特徴のある個々の製品の詳しいレポートは今後の連載記事で紹介する予定である。

 全体的に次のような印象を受けた。

・団塊の世代を対象としたオーディオ
・PC周辺のオーディオ
・携帯音楽プレーヤー(DAP)用オーディオ
・インターネット接続できるオーディオ
・低価格オーディオ製品
・本格オーディオの復活

 団塊の世代向けのオーディオは,若い時代にオーディオを楽しんでいた世代が退職するのに合わせて,もう一度オーディオを楽しんでもらうための製品コンセプトで開発されている。スピーカで1台5万円以上,プリメイン・アンプで15万円以上,CD/SACDプレーヤで10万円以上の今秋発売予定の新製品がいくつか出展された。さらに,根強い人気の真空管アンプも人気を集めていた。

 音楽を楽しむのに,最終的な音の出口としてスピーカが必要だ。ある程度の音質で音楽を楽しむには1台5万円程度のスピーカはそろえたいところだ。今回は,出展されていた新しいスピーカを紹介する。

ボイスコイル・ダイアフラム・スピーカ・ラボ

 今回の展示会で最も衝撃を受けた技術展示であった。従来のスピーカは,ボイスコイル,接着剤,ボビン,振動板内側,振動板外側と振動が伝わって,音が出ているが,この新技術は,ボイスコイル自体を振動板として駆動させる。音質は歪が無く,非常にクリアーで,高品位なもの。9cmのフルレンジ・ユニットで,30cmなみのf0=32Hz(最低共振周波数)を実現している(図1)。


図1●ボイスコイル・ダイアフラム・スピーカ・ラボの3種類の試作機。5号機:フルレンジ,直径7cm(口径9cm相当)。4.2号機:3ウェイ,直径15cm(f0=26Hz,口径18cm相当),直径6cm,直径2.5cm。6号機:同軸2ウェイ,振動板は直径15cm(口径18cm相当),2.5cm

パイオニア

 ピュアモルト・スピーカ「S-PM300」(1台7万円,2006年10月下旬発売予定)は,サントリーのウィスキーを熟成させるホワイト・オーク(楢)の樽から作られたスピーカ・エンクロージャを採用したスピーカの最新モデル(図2)。アラミド繊維の10cmのウーファを2本搭載している。トール・ボーイ型であり,専用スピーカ・スタンドが必要。スピーカ・スタンド「CP-PM300」は2台1組で5万6000円である。


図2●パイオニアのピュアモルト・スピーカ「S-PM300」

 ヴィンテージ・ピュアモルト・スピーカ「S-A4SPT-VP」(1台4万8000円,2006年8月上旬発売)は,150年経過したホワイト・オークの木材を採用した,10cmシングル・ウーファの小型スピーカ(図3)。ウーファはプロ用のTADスピーカの技術を継承したユニットを使用している。


図3●パイオニアのヴィンテージ・ピュアモルト・スピーカ「S-A4SPT-VP」