先日米Googleが非常に興味深い発表をした。BI(ビジネス・インテリジェンス)ソフトウエアの老舗であり,OLAP(オンライン分析処理)やBI市場で大きなシェアを占めている米Hyperionが,Googleの企業向け検索アプライアンス「Google OneBox for Enterprise」をサポートすると発表したのだ(プレスリリース)。この提携によって企業ユーザーは,検索エンジンを使うのと同じ方法で,BIデータにアクセスできるようになる。

 米Googleは今年に入って,業務アプリケーション分野にも進出しだしている。本誌でもこの動きを,これまで何度か取り上げている(関連記事:「企業向けデータベースの領域に進出し始めた米Google」「米Googleと米Kazeonが協力し,統合検索アプライアンスを提供」)。またGoogleが現在企業を悩ませている「スプレッドマート問題」を解決できるのではないか,と期待する論者もいる(関連記事:スプレッドマート問題をどう解決すべきか)。GoogleとHyperionが提携することによって,状況はさらに進展するだろう。

 Hyperionのアプリケーションは,Google OneBox for Enterpriseに対応することによって,新しいユーザー・インターフェースを得ることになる。同時にGoogleは,企業内でより多くの情報を統合できるようになるだろう。われわれは今,Googleが企業内システムに進出しようとしているのを目撃しているのだ。

自然言語を使ってあらゆる業務データを検索する

 現在,多くのベンダーが,リレーショナル・データベースだけでなく,OLAPデータや非構造化データベースを含むあらゆるデータを検索できるプラットフォームの構築を目指している。米Microsoftもその1社であり,同社はあらゆるデータを自然言語で検索できる「English Queryプラットフォーム」というアイデアを公開している。MicrosoftのBI分野における重要なパートナである米TARGITは,直感的に情報を利用できるBIアプリケーションを提供しているが,TARGITのツールはシンプルなWebベースの企業向け検索エンジン(つまりGoogleのアプライアンス)ほど,ユビキタスというわけではない。

 筆者は,GoogleとHyperionの提携によって,Hyperionのアプリケーションが持つデータがどれぐらいWebブラウザからアクセスしやすくなるのか,注目している。筆者は,GoogleによるROLAP(リレーショナルOLAP)やMOLAP(多次元OLAP)に関する取り組みの1つである「Bigtable」を完全に理解しているわけではない。従って,Googleのアーキテクチャが検索用インデックスとして本当に優れているのか,またGoogleが主張するように,Googleの検索インデックスが組織内のあらゆる情報資産に対応できる安定したものなのか,今はコメントできない。当面は,GoogleとHyperionがどういったコンポーネントを提供するのか,注意深く見守るしかないだろう。