今後は,携帯と固定を融合したFMCサービス*6の登場が予測される。FMCでは携帯と固定がセットで提供されるため,番号ポータビリティの障壁になる可能性がある(図5)。

図5●FMCサービスでも番号ポータビリティは可能
図5●FMCサービスでも番号ポータビリティは可能
携帯電話と一緒に固定電話も変更する必要があるが,面倒な手続きは事業者が代行する可能性が高い。

 ただし,企業向けのモバイル・セントレックスほど問題にはならない。移行先事業者もFMCサービスを提供している可能性が高く,固定電話も同じ事業者に切り替えれば問題ない。

 各事業者は,番号ポータビリティを視野に入れてFMCサービスを展開してくる。固定電話で提供されている番号ポータビリティのように,複雑な手続きは移行先事業者が代行することになるだろう。FMCサービスでも番号ポータビリティを利用できるのは間違いない。

PHSの番号ポータビリティは未定

 最後に,PHSの番号ポータビリティについて触れておきたい。携帯電話と同様にPHSも番号ポータビリティの対象に加えてほしいとする声は多い。しかし,PHSは携帯電話と料金水準が異なる。これを区別する狙いから,携帯電話とは別の「070」で始まる11けたの電話番号が割り当てられている。

 こうした区別が必要なくなれば,今後PHSでも番号ポータビリティを導入する可能性はある。ただし,PHSと携帯電話では網の構成が異なるため,前述とは別の設備改修が必要になる。

吉田 宏平(よしだ・こうへい) 総務省 前・番号企画室課長補佐

1994年に郵政省入省。電子署名法,電波開放戦略,携帯電話の新規参入などに従事。2006年7月31日まで総務省総合通信基盤局電気通信技術システム課番号企画室の課長補佐。現在は行政管理局で国の組織・定員などの査定を担当する。