XMLは,1998年にW3C(World Wide Web Consortium)が策定したデータ記述言語です。XMLは,HTML(HyperText Markup Language)と同様に,データを「タグ」でマークアップするデータ記述言語ですが,HTMLと違い「そのデータが何を表すデータなのか(人物の名称なのか地名なのかなど)」を「タグの名称」として指定できます。

 このためXMLデータは,タグに付けられた名称を使って,あとから検索,抽出,集計などが容易に行えます。また,「XSLTスタイルシート」を使うことにより,XMLデータはHTMLデータへの変換も簡単にできます。

 このようなXMLデータの再利用性やWebとの親和性などの特徴から,ここ数年でXMLは急速に普及しました。今ではXMLは,Webアプリケーション開発には欠かせないデータ・フォーマットとなっています。

 このように,大変重要な技術となったXMLに関して,ITエンジニアとしての技術スキルを客観的に証明できる資格が「XMLマスター」です。

 2001年に認定を開始したXMLマスターの取得者は年々増加しており,2006年4月には取得者が1万3000人を越えました。今後XMLのさらなる普及に伴い,XMLマスター取得者のニーズはますます増大していくことでしょう。

 XMLマスターには,「XMLマスター:ベーシック」と「XMLマスター:プロフェッショナル」という2種類の認定があります。表1に,XMLマスター認定の種類と認定内容,認定条件を示したので,参考にしてください。各試験の概要は表2でご確認ください。

表1●XMLマスター認定の種類と認定内容,認定条件
内容認定条件
XMLマスター:ベーシックXMLおよびその関連の標準仕様について,用語,概念を正しく理解していること,XMLによるデータの作成を標準仕様に基づき行うことができることなど,XMLの基礎レベルの技術力を認定「XMLマスター:ベーシックV2試験」の合格
XMLマスター:プロフェッショナルXMLの基礎知識を前提として,XMLデータ処理を行うアプリケーションの開発,システムの構築を行なえる実践的かつ高度な技術力を認定「XMLマスター:ベーシックV2試験」「XMLマスター:プロフェッショナルV2試験」の合格

表2●XMLマスター各試験の概要
試験名試験時間出題数合格ライン出題範囲
XMLマスター:ベーシックV2試験60分50題70%XML概要,XML文書の作成,DTD,XML Schema,XSLT/Xpath,名前空間
XMLマスター:プロフェッショナルV2試験90分40題80%DOM/SAX,DOM/SAXプログラミング,XSLT,XML Schema,XML処理システム構築技術,ML要素技術の活用

写真●XMLマスターの認定カード
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 各試験は全国のアール・プロメトリック認定試験会場で毎日受験でき,合格者には認定証,認定カード(写真)などが入った認定キットが送付されます。XMLマスターの詳細は,ホームページに掲載されています。

 この連載では,XMLマスターのうち「XMLマスター:ベーシック」の取得を目標に,XMLを基礎から学習していきます。

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目次

第1回 XMLの基本構文(1)-XMLの基本構文を学習する
第2回 XMLの基本構文(2)-XMLパーサーの解析手順を学習する
第3回 XSLTの基礎(1)-XSLTの基礎を学習する
第4回 XSLTの基礎(2)-テンプレートの呼び出し,ノードの作成を学習する
第5回 XSLTの基礎(3)-XSLTの条件分岐,ノードのコピーを学習する
第6回 DTDの定義(1)-要素型宣言の定義方法を学習する
第7回 DTDの定義(2)-属性リスト宣言,文書型宣言の定義方法を学習する
第8回 XML Schemaの定義(1)-XML Schemaの基礎,要素の宣言を学習する
第9回 XML Schemaの定義(2)-属性,データ型の宣言を学習する
第10回 XML Schemaの定義(3)-型の制限,型の拡張を学習する
第11回 XML名前空間を学習する


野中 康弘
インフォテリア 教育部 エンジニア。十数年間システム開発に携わり,そのうちの半分をデータベース管理者として奮闘する。現在は,インフォテリア認定教育センターのサポートや,XML技術者認定制度の「XMLマスター」に対応したコーステキストの開発などを担当している。