IPネットワークを理解する第一歩は,IPアドレスを押さえること。ネットワークを構築するとき,運用するとき,トラブル・シューティングのときなど,どんな場面でもIPアドレスの知識が必要になり,そこを押さえているかどうかで理解度が大きく変わってくる。

 ネットワークを使っている人ならば,一度はIPアドレスを「割り当てる」場面に遭遇しているはずだ。自分が普段使っているパソコンはもとより,部署内で管理しているサーバー・マシン,ネットワーク・プリンタ,ルーターなど,機器を扱う際にはIPアドレスを必ず割り当てる。また,ネットワークを新たに構築したりする際には,ネットワーク構成に合わせてどういったアドレスを使えばいいのかを決めることになる。

 ただ,実際に割り当てるアドレスの意味を完璧に理解しているかと言われると,自信が揺らぐ人が多いだろう。マニュアルに書いてある通りに設定したり,他人の設定をマネたりして,その場をしのぐことも多い。

 では,こうした苦手意識を克服するにはどうすればいいか。それは,実際のIPアドレス割り当ての現場を知り,実践に即した知識を身につけることである。

 IPアドレス割り当ての知識は,やみくもに勉強したのではなかなか身につかない。IPアドレスは単なる数字の羅列だし,ときには計算が必要になる。実作業を想定しないと,訳のわからない数字とにらめっこするだけだ。それでは現場で役に立たないし,何より勉強していて楽しくない。

場面別に必要なスキルを習得

 そこで今回,読者の皆さんには「IPアドレス割り当て道場」に入門していただく。師範の熱血指導のもと,IPアドレス割り当てに関する数々の知識とコツを解説していく。

 道場では,IPアドレスを割り当てる三つの場面を想定し,それぞれの場面で必要な知識と技を習得していく。

 最初の白帯編は,パソコンやルーターといった身近な機器にIPアドレスを割り当てる場面である。自分のパソコンに設定するIPアドレスの意味を知り,なぜこうしたIPアドレスを割り当てる必要があるのかを理解する。

 2番目の茶帯編は,部署や組織にIPアドレスを割り当てる場面を想定している。IPアドレス群を適切な大きさのブロックに区切り,管理しやすいように配置するコツを学ぶ。

 最後の黒帯編は,インターネット接続サービスやIP-VPNといった,企業向けのWANサービスを利用する場面を想定した。こうした場面で必要になるIPアドレス割り当てスキルを身につけていく。

 熱血指導といえどもスパルタではない。師範が懇切ていねいに指導するので,安心してページをめくろう。