試作したばかりのSiウエハーを披露するIntel社CTOのJustin Rattner氏
試作したばかりのSiウエハーを披露するIntel社CTOのJustin Rattner氏
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80個のCPUコアを集積したマイクロプロセサ。各コアに「Router」と呼ぶスイッチ回路をつけている
80個のCPUコアを集積したマイクロプロセサ。各コアに「Router」と呼ぶスイッチ回路をつけている
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メモリを80個スタックしたチップを,マイクロプロセサに張り合わせる
メモリを80個スタックしたチップを,マイクロプロセサに張り合わせる
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Siフォトニクスによるレーザー素子の動作デモを公開
Siフォトニクスによるレーザー素子の動作デモを公開
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 米Intel Corp.は2006年9月26日,米国サンフランシスコ市で開催中のIDFの中で,80個のCPUコアを1チップ上に集積したマイクロプロセサの試作品を初公開した。同社CTOでSenior FellowのJustin R. Rattner氏による研究開発成果についての基調講演の中で発表した。

 試作したマイクロプロセサの演算性能は,1個で1TFLOPSと1996年時点での世界最速のスーパーコンピュータ並みに高い。コア数の他にも,メモリと各CPUコアが1対1で接続され,それぞれ256Mバイト/秒のメモリ帯域幅を持つなど,従来にない3次元的なアーキテクチャを採用しているのが特徴である。

 Rattner氏は「今週初めに出来上がったばかり」と,試作したてのSiウエハーを披露した。面積が22mm×13.75mmのダイに,10個×8個のCPUコアを集積している。各CPUコアは,スイッチ回路を備える。これは,多数のマイクロプロセサをメッシュ状に接続したスーパーコンピュータに似たアーキテクチャといえる。

 Rattner氏は全体の演算性能だけでなく,1W当たりの演算性能が10GFLOPSであることも明らかにした。その際の動作周波数は3.1GHzで「現在得られるマイクロプロセサのどんな製品よりも電力効率が高い」(同氏)と主張した。

 メモリとの接続形態も特徴的だ。80個のメモリを集積したチップを,マイクロプロセサと張り合わせて利用するという。各CPUコアとメモリは1対1に接続し,それぞれ256Mバイト/秒のメモリ帯域を持つ。「1チップ全体のメモリ帯域は1Tバイト/秒で,驚くほど広い」(Rattner氏)。

マイクロプロセサ,メモリ帯域,インターコネクト技術が出揃う

 Rattner氏は,同社が9月18日に発表したSiフォトニクスによる光インターコネクト技術についても,開発したレーザー素子の動作デモンストレーションを初公開した。これで,1TFLOPSで動作するマイクロプロセサ,1Tバイト/秒のメモリ帯域,1Tビット/秒の通信容量を持つインターコネクト技術をすべて揃えた格好になった。