2005年末に突如として現れた無料動画共有サービスのYouTube。ブログやSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)などを通して瞬く間に普及した。
YouTube社の設立は2005年2月だが,YouTubeのWebサイトが一般に知られるようになったのは2005年末ごろである。
YouTubeとは,ユーザーが動画ファイルを投稿し,その動画を誰でも視聴できるサービスである。多数の動画が投稿されており,それらを無料で見られるのが話題を呼び,一大ブームを巻き起こしている。最近ではYouTubeに追随するかのように,類似のサービスが続々と登場している。「DivX Stage6」や「Askビデオ」,「ワッチミー!TV」,「AmebaVision」などだ。「ワッチミー!TV」の場合,アイデア自体はYouTubeの登場よりも前にあり「写真共有サイト『Flickr』の動画版を目指して企画したもの」(ワッチミー!TVを運営するフジテレビラボLLCの時澤正社長)というが,YouTubeが大きな影響を与えたのは確かだ。今夏以降は,マイクロソフトの「Soapbox on MSN Video」やNTT持ち株会社の「ClipLife」といった大手企業が提供する無料動画共有サービスも出現した。
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図1●YouTubeをきっかけに無料の動画共有サービスが続々と登場 | ||||||||||||||||||
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すでに無視できない存在に拡大
大ブームの無料動画共有サービスだが,大きな摩擦も引き起こしている。著作権侵害の問題だ。YouTubeなどは自由に動画ファイルを投稿できるので,一部のユーザーがテレビ番組など他人の著作物を無断でアップロードしている。朝放送された番組が夕方には投稿されているケースもある。映画やテレビ番組が丸々1本投稿されているケースも存在する。このようなことから,「無料動画共有サービスは著作権の無法地帯だ」といった厳しい批判が多い(関連記事「新たな巨大テレビ局?それとも無法地帯?---大ブレイクしたビデオ共有サイト「YouTube」成功の理由と課題」参照)。
しかし,YouTubeの圧倒的な人気と多数の類似サービスが登場したことから,本来なら否定的な立場にあるコンテンツの著作権を保持しているメディアも“なしくずし的”にその存在を認めつつある(NBonlineの関連記事)。米国ではYouTubeとワーナー・ミュージック・グループが提携するなど(関連記事「YouTubeとWarner Musicが提携,Warnerの音楽コンテンツを利用可能に」参照),既存メディアにとっても無料動画共有サービスは無視できない存在になってきた。