長谷 和幸(ながたに かずゆき)
アイテック情報技術教育研究所 主席研究員

 今回のテーマは「ドメイン名」である。ドメイン名といえば,WebアクセスのURL*1やメールアドレスなどで使われているわれわれユーザに最もなじみが深いアドレスの一つ。DNS*2と併せてインターネットのインフラを構成する非常に重要な技術であり,今年の秋の試験でも取り上げられる可能性は高い。この機会にキチンと理解しておこう。

今日の問題
(平成15年度午後I問題の問1から抜粋および要約した)

問3 小規模ネットワークの構築に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。

 K社は,不動産仲介業を営む,社員が数名の会社である。パソコンの知識をある程度もっている社員のR君が,ネットワークの構築と運用を担当している。K社では,昨年から,電話回線にパソコンを接続し,ISPへのダイヤルアップ接続でインターネットを利用してきた。当初は,Webの閲覧と電子メール(以下,メールという)の利用から始めた。その半年後に,営業内容の広報のためにWebでの情報発信も始めた。これらは,ISPのドメイン名を使用したサービスによって実現されていた。1年が過ぎて,インターネットの有効性も実証されたので,ADSLの導入,外出先からの利用及びK社専用のドメイン名(以下,独自ドメインという)の利用を計画している。

 そこで,K社ではADSLの導入や独自ドメインの利用にあたって,社長の友人でパソコンショップを営むW氏に支援を頼むことにした。

〔独自ドメインの利用〕
 R君は,W氏に独自ドメインの導入方法を相談した。
 次は,R君とW氏の会話である。

R君:独自ドメインを利用したメールや情報発信を行います。そのためには,独自ドメインを取得し,自社にサーバを設置するだけでよいのでしょうか。

W氏:K社にサーバを設置し,ADSLとIPアドレスサービスを利用すれば,独自ドメインを利用することができます。しかし,データのバックアップや障害対応などの運用が大変です。

R君:サーバを自社に設置しなくても独自ドメインは使えますか。

W氏:ISPの顧客ドメインサービスを利用する方法があります。このサービスを使うと,ISPに設置されたサーバを使う場合でも,独自ドメインが利用できるようになります。

R君:その場合には,昨年から使っているISPのドメイン名を使用したメールや情報発信を,顧客ドメインサービスを利用したものに切り替えるだけで済むのですね。

W氏:いいえ。(1)当分の間は,現在利用しているサービスも引き続き利用する必要があります。

R君:それでは運用が大変そうですね。ほかの方法はありませんか。

W氏:ISPの転送サービスを利用する方法もあります。このサービスでは,独自ドメインあてのメールが現在のメールアドレスに転送されます。また,ブラウザで独自ドメインを指定した場合には,現在のWebサーバを示すURLが返されます。運用上の利点としては,顧客ドメインサービスを利用する場合とは異なり,(2)Webサーバのデータの移動又は複写が不要であることが挙げられます。

 検討の結果,K社では,転送サービスを利用して,独自ドメインを導入することにした。

設問3 独自ドメインの利用に関する次の問いに答えよ。
 (1) 本文中の に入れる適切な字句を答えよ。

 (2) 本文中の下線(1)の理由を,35字以内で述べよ。

 (3) 本文中の下線(2)について,データの移動又は複写が不要である理由を,35字以内で述べよ。

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