三浦 雅孝 アイ・ピー・ビジョン
CTO
三浦 雅孝

Gizmoの最大の特徴は、国際標準プロトコルであるSIP(Session Initiation Protocol)を採用しているところである。インスタント・メッセージやプレゼンスなどの新たなアプリケーションの拡張性、端末の選択肢の多様性といったメリットが期待できる。

 固定電話や通常のIP電話では実現できなかった新たなサービスが可能になった。インスタント・メッセージ、プレゼンスなどである。コンタクト・リスト(アドレス帳)に登録した相手の状態がすぐに画面上に表示される。不在時にはボイス・メール・サービスに自動的に接続される。ボイス・メール・ボックスに蓄積された内容は、登録した電子メール・アドレスに、音声ファイルとしてメールに添付されて送られてくる。毎日、必ず電子メールをチェックしているものにとっては便利な機能である。いちいち、ボイスメールセンターに電話をして、内容をチェックする手間が省ける。是非既存の携帯電話でも実現して欲しいサービスである。自分のPCでボイス・メールを含むすべてのメールが一括管理できることになる。

 Gizmo画面から、簡単にインスタント・メッセージ(IM)や電子メールを送れる。相手が不在のときにも便利である(写真1、2)。IMでは、YahooメッセンジャーやMSNメッセンジャーなどが普及しているが、Gizmoは今後これらのサービスと相互に接続していくことを表明している。すでにGoogleTalkとは接続しており、相互にメッセージを交換できる。

写真1●Gizmoのインスタント・メッセージ画面


写真2●「miura」で登録ユーザーを検索
日本からも筆者も含め7人程の「miura」さんが登録している。

 また、クライアントやプロトコルのレベルで互換性がとれるようになる可能性が高い。IMがSIP(Session Initiation Protocol)で結ばれれば、ひとつのクライアント・ソフトウエアで複数のIMサービスと相互にコミュニケーションが取れる。すでに、SIPを使うIMが多いし、今後さらに増えていくと思われるからだ。これを推進しているのがインスタント・メッセージ・フェデレーションである。

 会議サービスも充実している。会議室利用をWebから申し込むと、1-222-xxx-xxxx(xは自動的割り当てられる)という会議室番号を取得できる。参加者がそれぞれこの番号に、電話すれば会議を開催できる。固定電話からは1-712-432-5015に電話しガイダンスに沿って先の会議室番号を入力すれば、その会議に参加できる。この会議室の番号は申請したユーザーが永久的に利用できる。日本の固定電話から入室するノードはまだ設置されていないが、Gizmoプロジェクト・メンバーなら地域、時間を選ばず利用できる。

 PartyLineサービスも面白い、誰でも参加できる会議室である。いわゆる、音声チャットである。このサービスに電話をかければ、同じく世界中からこのサービスに電話をかけてきた人と会話を楽しむものだ。英語の勉強にはもってこいのサービスである。

 Gizmoクライアントには録音機能がある。これを利用して、通話を録音して、音声ブログ・サイトにアップロードしましょうなどと言う利用方法が紹介されている。今後、インターネット電話による音声ブログ・サイトや、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)の出現を予感させる。これらは従来にないインターネット電話の新しい利用分野である。