「E02SA」は、KDDIが認定したパートナだけに販売を認め、これによってセキュリティを確保している。BREWは自由度が高いアプリケーションが組めるからだ。また、無線LANの新技術を取り込み、高速化、通信の安定性やセキュリティを向上している。

販売パートナを限定,セキュリティ確保は大前提

 動作するアプリケーションをBREWで開発できるE02SAは,裏を返すとセキュリティ上のリスクを抱えていることになる。悪意を持った第3者が,端末内のデータを外部に勝手に送信するBREWアプリケーションを作成するといった懸念もあるからだ。防止策としてKDDIは,「モバイル・ソリューション・パートナ」(MSP)と呼ぶパートナ制度を設け,認定したパートナだけにBREWのインタフェースを公開してきた。

 E02SAを使ったモバイル・セントレックスの構築でも,MSPを拡張する形でパートナ制度を設けた。E02SAが実装するSIPの仕様と無線LAN機能を利用できるインタフェースの仕様は,KDDIが認定したパートナだけに公開する。開発したBREWアプリケーションも,KDDIが事前に動作などを検証。情報漏えい事故などを引き起こしそうな動作は,この検証段階で見付け出す。そこで合格したBREWアプリケーションだけを,KDDIが管理する配信サーバー経由でE02SAに配信する手順を踏んでいる。

図1●端末は販売パートナ経由でしか手に入らない
KDDIは認定した販売パートナにしか,E02SAを使ったシステムを構築するための情報を公開しない。2006年9月19日現在の販売パートナは,KDDIネットワーク&ソリューションズ(KNSL),沖電気工業,日立製作所,富士通,ユニアデックス,NECの6社。
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 現在の販売パートナは,KDDIネットワーク&ソリューションズ,沖電気工業,日立製作所,富士通,ユニアデックス,NECの6社。いずれもBREWアプリケーションを活用した付加価値の拡大に取り組めると判断されたインテグレータである。

 特にユニアデックスや富士通は,ユーザー企業のBREWアプリケーションの開発を支援するソリューションを提供。業務端末として使えるE02SAの特徴を前面に出して展開する考えだ。

 さらにKDDIは,パートナに無線LANシステムの構築ノウハウも求めた。E02SAがKDDIの端末である以上,「無線LANを使う内線通話の品質も,事業者に責任が求められる」(モバイルソリューション商品開発本部商品企画部商品企画2グループの石井 匠課長補佐)と考えたからだ。このため各パートナが,無線LANシステムの構築から保守,サポートまできめ細かく対応できるかどうかを審査したという(図1)。