Momonga LinuxはMomonga Projectが開発を行っているLinuxディストリビューションだ。2006年8月14日に最新版の「Momonga Linux 3」がリリースされた。ディストリビューションとしてはFedora Core 5との互換性を重視しており,パッケージ管理ツールにはyumなどを採用している。

 Momonga Projectのホームページによれば,名前の由来は以下のとおりだ。「実はモモンガって自己主張が強いんですよ、小さなボディに似合わず。私達Momonga Project は無名で規模も小さいですが、モモンガに似て自己主張はしっかりしていきます」

 今回はこのMomonga Linuxを使って,3Dデスクトップ「AIGLX」の設定を行ってみた。また,Momonga Projectのコアメンバーへのインタビューも敢行した。



Momonga Linuxの3Dデスクトップ

3Dデスクトップを実現するAIGLX

 Momonga Linux 3は,IPAフォントやSun Java 1.5の採用,Ruby on Railsの収録など,最新ディストリビューションらしく現在旬な機能を数多く取り込んでいるが,今回注目したのがAIGLXが利用可能になったX Window Systemだ。

 AIGLX(Accelerated Indirect GL X)は,Fedora Projectが開発しており,デスクトップでOpenGLの機能を利用して様々な表示効果を実現できる。同様の機能を提供するものとして,ノベルの開発している「Xgl」があり,SUSE Linux Enterprise Desktop 10などに採用されている。

 Momonga Linux 3では,標準でインストールされるXでAIGLXの機能が利用可能になっている。Xglを利用する場合には別途Xorgパッケージをインストールする必要があるので,今回はAIGLXと3Dデスクトップを実現するデスクトップマネージャ「Compiz」を組み合わせて,Linux上で実現する3Dデスクトップ環境を体験してみた。

 3Dデスクトップ環境は,Mac OS XやWindows Vistaなどでも搭載されており,今後のデスクトップ環境の「ユーザーエクスペリエンス」を特長づけていくものだろう。現時点でLinux上でどの程度のことが実現できているのか,確かめてみたい。

AIGLX+Compizのセットアップ

 3Dデスクトップ環境を実現するには,ビデオカードの3Dアクセラレーション機能が重要となる。AIGLX開発プロジェクトのWikiによると,今のところAIGLXがサポートされているGPUはATI社のRADEON 7000以降,X850までと,インテルのi830以降i945のチップとなっている。

 今回使用したハードウエア環境は,ATI社のGPUであるRADEON 8500LEを採用したビデオカードを使用しており,問題なく動作させることができた。

 Wikiには動作しないGPUやドライバについて記載があるので,あらかじめ目を通しておくとよいだろう。

 ビデオカードの対応が確認できたら,必要なパッケージをインストールしておく。標準でインストールされているXサーバー,XorgはAIGLXが有効になっているので,デスクトップマネージャのcompizと,設定ツールのmomonga-xgl-settingsを追加でインストールする。インストールは,ネットワークが使用可能ならばyumコマンドで行える。

$ su
# yum install compiz momonga-xgl-settings

さらに,Xorgの設定ファイル/etc/X11/xorg.confに以下の3つの設定を追加する。

設定1

Section "ServerLayout"
(略)
Option "AIGLX" "true" ←1行追加
EndSection

設定2

Section "Device"
(略)
Option "XAANoOffscreenPixmaps" ←1行追加
EndSection

設定3

※以下のSection~EndSection(3行)を追加
Section "Extensions"
Option "Composite" "Enable"
EndSection

 設定を追加できたら,ログアウトをするなどしてXサーバーを再起動する。ログイン後,grepコマンドなどで/var/log/Xorg.0.log内からAIGLXというキーワードで検索してみる。もし「(EE) AIGLX: Screen 0 is not DRI capable」というログ記録が出た場合は,残念ながらAIGLXは利用できないということになる。今回の環境では「(II) AIGLX: Loaded and initialized /usr/lib/dri/r200_dir.so」というログが記録されており,きちんとDRI(Direct Rendering Infrastructure)が有効になっていることが分かった。