国内企業のIT投資拡大を受け、データベースソフト市場が回復している。中堅・中小企業向けのマス市場を中心にマイクロソフトと日本オラクルのシェア奪い合いが激化する中、下位ベンダーは、自社を“指名買い”してくれるパートナーの獲得に躍起だ。
「一時期の停滞感からは脱した。ユーザー企業の投資が上向き、大規模システムの案件が好調に伸びている」──。日本オラクルの杉崎正之システム製品統括本部営業推進部部長は、データベース(DB)ソフトの市場回復を、こう説明する。同社は2005年度(2006年3月期)、データベースソフトの売り上げを前年比8.3%増の405億円に伸ばした(本誌推定、以下同)。2006年度(2007年3月期)は売り上げをさらに伸ばし、前年比10.1%増の446億円を見込む。
2006年度のWindows および商用UNIX、Linux 向けDB ソフトの市場は、主要メーカーの出荷金額の合計で983億円。2005年度の895億円から、9.8%増える見込みだ。市場の伸び率がひとケタ台前半に落ち込んでいた前年度までの低迷期を脱し、好調に転じた。
市場が好調なのは、景気の回復によるユーザー企業のIT投資意欲の高まりが大きな要因だ。「メインフレームからのリプレースでUNIXへの移行が見込めるほか、20テラ〜30テラバイト規模で始める大規模なデータウエアハウスの構築案件も増えている」(日本オラクルの杉崎部長)。
加えて、2005年4月の個人情報保護法施行を契機に高まったセキュリティ需要も、DBソフト市場の追い風になっている。ベンダー各社は、直近で投入した新版で、セキュリティ機能の強化を打ち出している。さらに日本版SOX法も、ベンダーがユーザー企業に提案する新たなキーワードとして急浮上した。「ワークフローや電子申告、メールアーカイブなど、内部統制関連の引き合いが多い」(日立製作所の丸山剛男ネットワークソフトウェア本部DB設計部主任技師)。
中堅・中小企業市場が激戦に
DBソフト市場の成長が再び加速する中、焦点となっているのが中堅・中小企業の市場。日本オラクルとマイロソフトのシェア争いが激化しているからだ。両社とも、膨大なマーケティングコストをつぎ込んで、さらなるユーザーの獲得に躍起だ。
特に今年2 月に新版の「SQL Server 2005」を出荷したマイクロソフトは、旧版のSQL Server 2000/7.0 のユーザーのリプレース需要に対応するほか、新たに標準装備したBI(ビジネスインテリジェンス)機能の活用をアピールして攻勢をかける。
BI用途向けの拡販では、これまでSQL Server を扱っていたパートナーに対してトレーニングを実施しているほか、9月1日には、BI関連の商談を支援する「案件支援センター」も開設した。販売パートナーと共同でデモを実施するなどの支援を提供する。
一方日本オラクルは2004年に、中小システム向けの低価格版製品「Oracle Database Standard Edition One(SE1)」を投入し、マイクロソフトのSQL Server の市場切り崩しに取り組んできた。SE1の販売は好調で、2005 年度には金額ベースで前年比50 %増の伸びを達成している。杉崎部長は「これまで日本オラクルが入りきれていなかった市場にも浸透している」と話す。
表●国内販売されている主なデータベース製品の出荷実績と販売強化策
* 本誌推定 SOA:サービス指向アーキテクチャ BI:ビジネスインテリジェンス
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開発/販売 |
主な製品名 |
最新版の出荷時期 |
価格 |
2006年3月期の出荷実績* |
2007年3月期の出荷見通し* |
販売強化策 |
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米オラクル/日本オラクル |
Oracle Database 10g |
2004年4月 |
Standard Edition Oneのプロセッサライセンスが62万4400円など |
Windows:177 円
UNIX/Linux:228億円 |
Windows:195億円
UNIX/Linux:251億円 |
今秋設立予定の「Oracle Grid Center」で、サーバーベンダー
各社と協力して大規模データベース環境やグリッドコンピュー
ティング環境の検証、サービス提供を推進していく。SOAやセ
キュリティなどの注力領域ごとに、データベース以外のミドルウ
エアを組み合わせたソリューションを、パートナーと共同で拡販
していく |
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米マイクロソフト/マイクロソフト |
Microsoft SQL Server 2005 |
2006年2月 |
Workgroup Editionのプロセッサライセンスが45万100円からなど |
Windows:220億円
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Windows:240億円
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今年2月に出荷したSQL Server 2005で、(1)旧版のSQL
Server 2000/7.0からのリプレースの推進、(2)大規模基幹シス
テム案件の獲得、(3)標準装備のBI 機能活用による拡販、(4)
ISV 製品への対応の推進──に注力する。ISV パッケージの
対応に向け「ISVラボ」での検証も推進する |
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米IBM/日本IBM |
DB2 9 |
2006年7月 |
Expressのプロセッサライセンスが55万5700円からなど |
Windows:43億円
UNIX/Linux:83億円
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Windows:45億円
UNIX/Linux:87億円
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仮想化、共有化したデータへの柔軟なアクセスを実現する
「Information On Demand」のコンセプトに基づき、コンテンツ管
理や情報統合、データ検索基盤など関連するソリューションの販
売を強化する。新版のDB2 9で強化したXML対応機能を活用し
たアプリケーションを提供するパートナーの開拓にも力を入れる |
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日立製作所/同 |
HiRDB Version 8 |
2006年6月 |
プロセッサライセンスが180万円から |
Windows:21億円
UNIX/Linux:39億円
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Windows:24億円
UNIX/Linux:45億円
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新版では、SOAに基づくシステム向けの情報統合機能を強化し
た。ワークフローや電子申告など内部統制関連のアプリケーショ
ンとの組み合わせ販売に注力するほか、パートナー企業が持つア
プリケーションへの組み込みも推進する。2005年後半に技術者
認定制度を開始し、技術者の育成に力を入れている |
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富士通/同 |
Symfoware Server V8 |
2006年4月 |
Base Editionのプロセッサライセンスが60万円からなど |
Windows:13億円
UNIX/Linux:35億円
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Windows:15億円
UNIX/Linux:38億円
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アプリケーションサーバーや運用管理ツールなどを組み合わせた
TRIOLEテンプレートのバリエーションを増やし、拡販を狙う。医
療や人事会計など、業務アプリケーションに組み込んだ販売を
強化している。今後は技術者認定制度も整備する計画 |
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米サイベース/サイベース |
Adaptive Server Enterprise 15 |
2006年9月 |
Linux、Windows版のプロセッサライセンスが62万4000円からなど |
Windows:14億円
UNIX/Linux:22億円
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Windows:14億円
UNIX/Linux:27億円
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OEM用にライセンスの個別対応するなどにより、パートナー企業
の業務アプリケーションへの組み込みを推進する。これまでサイ
ベース製品を扱っていなかったパートナーも開拓する。データ検
索や分析処理向けのSybase IQの販売にも力を入れている |
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本記事は日経ソリューションビジネス2006年9月15日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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