写真1 北京市内にあるグーグル中国法人の本社ビル。グーグルは中国語で「谷歌」(gu geと発音)という。中関村と呼ばれるハイテク企業や大学の密集地域に位置する(撮影:玉利文吾)
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 秋に中国への旅行を計画中です。まだ一度しか行ったことのない上海を再訪しようと考えています。ただ,せっかく上海へ行くのですから周辺都市にも足を伸ばしたくなりました。特に蘇州と杭州は「上有天堂,下有蘇杭」(天に天国があれば地には蘇州と杭州がある)と言われ,その美しい街並みが有名です。

 さて,どうやって各都市を周れば効率が良いかな,と考えていた9月初頭,グーグルが中国で「Googleローカル」の中国版を開始したというニュースに接しました(写真1)。さっそくそのWebサイト「Google本地捜索」にアクセスすると,既にレストランなどの店舗情報がマッピングされており,“使える”サービスになっています。

 実は中国ではGoogleローカル以外にも,Ajax(Asynchronous JavaScript + XML)技術を使ったインターネットの地図サービスが続々と登場しています(表1)。


地図サービス名 説明
我要地図 北京霊図軟件技術が提供。距離や面積を計算する測量機能を用意する
百度地図捜索 検索エンジン大手の「百度」が提供。Mapbarのデータを利用する
Google本地捜索 Googleローカルの中国版。Mapabcのデータを利用する
愛問本地捜索 大手ポータル・サイト「新浪網」が提供。Mapabcのデータを利用する
華夏図網 400都市以上の地図データを所有。中国のYahoo!(雅虎)に地図データを提供している
Mapabc 北京図盟科技が提供。グーグル以外にも,大手検索サイト「中捜」や「愛問」にデータを提供している
Mapbar 北京図為先科技が提供。ブログ連携機能や英語版もある
捜狗--地図捜索 大手ポータル・サイト「捜狐」が提供。同社が買収した地図サービス「図行天下」(Go2map)のデータを利用する
UrMap 台湾のOleMap(友邁科技)社が提供。衛星画像の表示もできる
表1 Ajaxを利用した主な中国・台湾の地図サービス



写真2 百度の本社。中国で百度はグーグルと並ぶ人気を誇る検索エンジン。本社はグーグル中国法人と同じく中関村にある。百度という名称は宋時代の漢詩の一節に由来。写真の看板には「有問題 百度一下」(問題があったらすぐに百度する)と書かれている(撮影:玉利文吾)
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 例えば,中国ではグーグルと互角以上の勝負をしている検索エンジン「百度」(バイドゥ)もAjax地図サービスを提供中です(写真2)。「新浪網」や「捜狐」といった大手ポータル・サイトもAjax地図サービスを用意しています。

 これらの検索エンジンやポータル・サイトに地図データを提供しているのは「Mapabc」や「Mapbar」といった中国内の地図データ専門会社です。ここらへんの構造も日本と同じです。

 また,台湾には「UrMap」というAjax地図サービスがあります。こちらは衛星写真の表示も可能です。「TaipeiWalker」といった情報誌の店舗データがマッピングされていて非常に使いやすいサービスになっています。台湾旅行者や出張者には必須と言えるでしょう。

 広大な中国や台湾の地図をAjaxによって快適に検索・閲覧できるのですから大変便利,と言い切りたいところですが,日本からのアクセスだと地図のデータ読み込みに若干の時間がかかります。北京在住の知人によると,北京市内では高速・快適に使えるそうなので,日中間の通信回線がボトルネックなのでしょう。

 ほんの数年前まで海外旅行や海外出張の際は現地情報の不足に悩まされることが多かったのですが,各国で立ち上がるAjax地図サービスがこの問題を解消してくれます。地球はますます小さくなっているようです。


写真3 Googleローカル中国版。北京の中心部である王府井を表示させた
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写真4 百度地図検索。北京市内のハイテク企業密集エリアである中関村を表示させた
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写真5 捜狗の地図捜索。香港の九龍半島を表示させた
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写真6 台湾のAjax地図サービス「UrMap」。衛星写真やレストランなどの店舗情報も表示できる
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