情報システム

三越のICタグ実験

日経コンピュータ

電子棚札の在庫表示で試着率が向上

アクティブ型ICタグは店員の呼び出し方などに課題を残す

2006/09/05
安東 一真=日経RFIDテクノロジ

 「サイズ在庫の有無をリアルタイムに顧客に見せると購入確率が上がる」――。無線ICタグシステムと連携してサイズ在庫を表示する電子棚札の有効性が、三越が2006年1月31日〜2月13日に実施した経済産業省のICタグ実証実験で明らかになった。試着などのために問い合わせを受ける比率が、電子棚札を付けることで約1.5倍になった。商品の売上高も、前年同期比で15.8%増えた。

 今回の実験では三越の銀座店において、在庫が約5000点の婦人用高級ジーンズに、個品単位でICタグを取り付けた。三越は、婦人靴を対象にしたICタグベースの在庫管理システムを複数の店舗に展開しているが、今回は対象をアパレル商材に変え、さらに電子棚札やアクティブ型ICタグなどの新たなツールを追加することで、さらなる顧客サービスの向上を目指した。そのなかで、電子棚札の効果が特に高かった。電子棚札は婦人靴向けと同様のICタグベースの在庫管理システムと連携させ、棚に並べた72種類の商品を対象に、商品名と価格のほか、22〜28インチのサイズごとの在庫を表示させた。

 在庫数を棚札でリアルタイムに顧客に見せることは、「当初、現場から反対の意見が多かった」(三越百貨店事業本部商品統括部商品システム推進担当ゼネラルマネジャーの西田雅一氏)という。サイズ在庫がないと分かった顧客がすぐに立ち去り、接客の機会を失う恐れがあるからだ。ところが逆に、接客の機会は増えた。店員に聞いたり、ジーンズを1枚ずつめくってサイズを調べなくてもサイズ在庫がすぐに分かることが、顧客サービスの向上につながったとみられる。

 電子棚札は、2カ所ある4段棚に取り付け、その手前にある平台には付けなかった。来店客のうち商品の問い合わせを行った顧客の割合は、電子棚札が付いた商品が11%、平台の商品が5%だった。2週間の実験が終わって電子棚札を取り外したあとの2週間を調べると、問い合わせ率は棚の商品が7%に下がり、平台が6%に上がった。この数字の差が、電子棚札の効果とみられる。

 もっとも、今回の電子棚札を実導入する時期は未定である。電子棚札には富士通が開発した電子ペーパーを使ったが、その製品化の時期が未定だからである。適切な価格で製品化されれば、三越はすぐにも導入したい考えだ。なお価格だけを表示できる電子棚札は、スーパーマーケットなどで導入が進んでいるが、表示できる情報に限界があり、高級感が足りないため、今回のような商材には使えないという。

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